ご遗族の方へ 病理解剖についてのお愿い .docVIP

ご遺族の方へ 病理解剖についてのお願い この度はご家族（ご親族）の方のご逝去に際し、職員一同より謹んでお悔やみを申し上げます。 東京逓信病院では、お亡くなりになられた患者さんに対して病理解剖の実施をお願いしております。担当医師より説明を受け、以下の文章をお読みいただき、承諾していただける場合には、別紙の承諾書にご署名をお願い致します。 病理解剖の目的 病理解剖で調べることは、主に次のような事項です。①生前の診断が妥当であったか　②治療の効果はどの程度であったか　③現在の診断技術では明らかにできない病気や異常はなかったのか　④そして亡くなられた原因は何であったのか。主な病変部だけでなく、全身の臓器や組織を詳しく調べることにより、ひとつの病気が全身に及ぼしていた影響のほか、生前の血液検査や画像検査だけではわからなかった障害やその原因が明らかになることもあります。このような病理解剖で判明したこのような所見は、お亡くなりになられた方の病気の病態の解明に役立つだけでなく、同じような病気で苦しんでいる方々の診断や治療のために大変貴重な情報となります。 病理解剖は「死体解剖保存法」の規定に基づいて行われるものです。この法律について詳しい説明を希望なさる方は、お渡しする参考資料をお読みください。 病理解剖の実際の手順 　病理解剖は、担当医の立ち会いの下、当病院の病理専門医によって厳粛に行われます。ご遺体は最大限、丁重に扱わせていただきます。病理解剖の所要時間は約2時間半程度ですが、切開した部分を縫合するなどの処置を済ませてご遺体をお返しするまでには、3～4時間かかります。その間、ご遺族の方々は霊安室などでお待ちいただくことになります。また、夜間にお亡くなりになられた場合は、基本的に翌朝に開始させていただきますので、お返しできるのはお昼過ぎになります。 　通常の病理解剖では、胸とお腹の中を調べます。病気の種類によって頭部 脳 なども調べさせていただく場合には、担当医よりご説明申し上げたうえで許可をいただきます。 皮膚切開は、胸とお腹の場合には、終了後に衣類で隠れる範囲に限定して行います。脳については、毛髪で隠れるように切開を入れます。その他、通常と異なる部位に切開を入れる必要がある場合には、必ず事前にご遺族の了解を得るように致します。切開の範囲についてご要望がある場合には担当医までお申し出いただき、承諾書の記載欄にご記入ください。 調べた臓器や組織は体から取り出され、保存されます。詳細な肉眼観察の後に、その一部から顕微鏡用標本を作製し、さらに詳細な検討を加えます。 臓器は一定期間（通常3～5年間）保存した後に、死体解剖保存法に基づき、当病院の責任のもとに礼をもって荼毘（だび）に付されます。一方、顕微鏡観察の組織はパラフィンブロック（ロウに包まれた標本）として半永久的に保存されます。顕微鏡標本は、これらのブロックを薄く削って作製します。 ３．医学教育や研究への利用 肉眼標本や顕微鏡標本は、研修医や看護師の教育あるいは医学研究の目的で使用されることがあります。時を経ても、保存されたブロックから新たな標本を作製することができますので、数十年たっても医学の進歩への貢献が可能です。貴重な標本を教育や研究に使用させていただく場合、東京逓信病院倫理委員会での審議を含め、十分なプライバシーの保護と倫理性に基づいて実施することをお約束いたします。また保存標本は、診断?教育?研究などの目的で他施設に提供されることもあります。その場合、他施設においても、同様に厳格な倫理的基準を適用いたします。保存標本の研究?教育への使用の有無などについてお尋ねになりたい方は、標本管理責任者?担当者から詳しく説明させていただきますので、当病院医事課にお申し出下さい。 病理解剖の結果は、日本病理学会が作成している日本剖検 ぼうけん 輯報 しゅうほう にその概要が掲載されます。この書物は日本全国からの病理解剖症例が登録される貴重な医学資料ですが、患者さんのお名前など個人を特定できるような情報は掲載されず、プライバシーは守られます。 なお、保存標本の使用に関して、後日承諾を撤回し、保存標本の研究?教育への使用を断ることもできます。また、保存されている全ての標本などの返還を要求することも可能です。そのような承諾の撤回により、ご遺族が不利益を被ることは全くありません。ただし、お返しする標本は、「死体解剖保存法」に則って管理されることが義務付けられますので、返却をご希望の場合には、剖検を担当した病理専門医からご説明させていただきます。 ４．病理解剖の結果と報告書について 　病理解剖が終わった時点で、立ち会った担当医からご遺族に対して、肉眼所見についての説明があります。病理解剖の最終報告書が出るま