急性顎口腔感染症に対するNY-198 の臨床的検討.pdfVIP

VOL.36 S-2 CHEMOTHERAPY 1353 急性顎 口腔感染症に対す るNY-198の臨床的検討 高 井 宏 ・池 嶋 一 兆 ・千 葉 卓 ・武 本 泰 森 伸 介 ・小 崎 博 児 ・岡 田 泰 之 東北歯科大学口腔外科学第一講座 いわゆるnewquinolone系抗菌剤の一つであるNY-198を顎 ・口腔感染症 の10例に投与 し ,そ の 治療効果 を日本 口腔外科学会 の抗生物質効果判定基準委員会 によ り設定 された基準 によ り判定 した結 果,著 効3例,有 効7例 と全例 に有効 であった。 また担 当医の主観 による有用性では,非 常に満足3 例,満足7例 でや ゝ満足,不 満,非 常に不満 はなかった。 副作用お よび異常検査値 は本剤 による と推定 された ものはなかった。 NY-198は新 し く合成 され たい わ ゆ るnewquinelone に炎症 の主体のあるもので初診 時評点が10点以上の も 系抗菌剤 で,そのスペ ク トラムは,Staphyloooccus aureus, の3例,第2群:歯 冠周囲炎すなわち解剖学的特異性 に Escherichia coli, Klebsiella pneumoniae, Enterobacter よ り特殊 な臨床経過 を示 し易い下顎智歯周 囲炎 で評点 cloacae, Shigella spp., Salmonella spp., Pseudomonas 10点以上の もの3例,お よび第3群:顎 炎す なわち炎症 aeruginosa, Haemophilus influenzae, Neisseria gono- の主体 が顎骨 にあ り評点が15点以上の もの4例 であっ rrhoeaeなど好気性のみな らず嫌気性菌 に対 しても広 く かつ強力な活性 を有す ること,また経 口吸収は非常に良 た。 好で,血中半減期 は6～8時 間 とされ,各組織への移行 投与量お よび投与方法 は,症状 に応 じて本剤100mg含 もよく,尿中排泄 は約80%が48時間以 内に未変化 で行な 有カプセル を1日4個分2法,ま たは1日6個 分3法 で われ,蓄積性 も認め られないと報告2)されている。 投与 した。投与期 間は当初3日 分 を投与 し以後症状 に応 一方,顎 口腔感染症 はグラム陽性,陰 性菌の混合感染 じて継続 したが平均 は5.0日であ り,1例当 り総投与量 であることが非常に多 く,嫌気性菌 もしばしば見 出され は1200～4200mgで平均2640mgであった。 る。 また本感染症は外来で治療 されるものが殆んどであ また併用薬剤 については本治験に影響 を与 える可能性 り,内服投与の可能な本剤は当該領域 にとって有用度が のあるものは一切使用 しなかったが症例10は本剤 投与 高いもの と推定 されるので臨床試用 を行 なったが,良好 開始 日に激痛 を訴 えたので鎮痛剤 を1回だけ頓用 させ た。 な結果 を得たので報告す る。