Ⅱ-4-③西洋思想Ⅲ（西洋近代哲学1）.PDFVIP

Ⅱ-４-③ 西洋思想Ⅲ（西洋近代哲学１） ルネサンスと宗教改革を経て，神という権威を離れ，自分でものを考え，自分の力で社会を形成していこうとする主 体的人間像が生まれた。このような人間像の下，思想的には大陸合理論とイギリス経験論の二つの流れが生まれた １ 大陸合理論（デカルト，スピノザ，ライプニッツ） 大陸合理論は，認識の源泉に関し「理性」を重視し，人間の観念について「生得観念」の立場をとるとともに方法 論として「演繹法」を確立した。合理論の開祖はデカルトである。 デカルト（1596～1650）：方法的懐疑，「われ思う，ゆえにわれあり」，演繹法，物心二元論，『方法序説』 ① 方法的懐疑：これまでに確実とされるすべての事柄を疑いにかける（方法的懐疑）。しかし，すべての事柄 は疑いえても、疑いえないものとして疑っている「私」の存在が残った。 ⇒「われ思う，ゆえにわれあり」 ② 演繹法 ：確実で普遍的な原理から経験によらず，論理的に個々の確実な法則を導く方法。 ③ 物心二元論：世界を成り立たせている実体として精神と物質は相互に独立した別個のものとし， 精神は事物から独立した近代的自我として成立し，さらに自然を物質的運動の因果 法則によって機械論的に捉える機械論的自然観が生まれた。 スピノザ 一切の事物は神から必然的に生じたものであり，神の属性であり，神は世界の内に内在している（汎 （1632～1677） 神論）と考え，唯一の実体は神であるとした。 ライプニッツ 宇宙は非物質的・精神的実体であるモナド（単子）によって構成されておりモナドは神により，あ （1646～1716） らかじめ調和のとれたものとして定められている（予定調和）と説く ２ イギリス経験論（Ｆ．ベーコン，ロック，ヒューム） 合理論が真理の源泉を「理性」に求めたのに対し，経験論は「経験」に求める。 ：経験論の開祖「知は力なり」，４つのイドラ，帰納法（⇔演繹法），『ノヴム・ (1) Ｆ．ベーコン（1561～1626） オルガヌム（新機関）』 正しい知識に基づいて自然を支配＝征服し，それを利用し人間の生活の改善・向上を図ろうとしたのである（「知 は力なり」／「自然は服従することによってでなければ征服されない」）。 ① ４つのイドラ：正しい認識を阻むものとして４つのイドラ（偶像＝偏見・先入観）を挙げる。 ⇒ 種族のイドラ・洞窟のイドラ・市場のイドラ・劇場のイドラ ② 帰納法 ：個別的な事柄を経験的に理解し，仮説を立て，実験により普遍的な原理を導く。 (2) ロック（1632～1704）：タブラ＝ラサ（白紙），『人間悟性論』 人間の観念は生得的なものであるとしたデカルト的生得観念論を批判し，赤子の心を白紙（タブラ＝ラサ）に喩え、 すべての人間の観念は経験によって得られる「習得観念」であるとした。 (3) ヒューム（1711～1776）：懐疑論，因果律の否定 大陸合理論者のいう印象や観念を超えた実体としての「精神」や「物体」を否定し，すべての観念は感覚的な印象に 由来し，印象と印象とを結び付ける必然性を否定する。その上で印象とは心に直接現れる感覚や感情などであり，観念 とは記憶や想像におけるその反復であるとした。 ３ 社会契約説 ホッブズ（1588～1679） ロック（1632～1704） ルソー（1712～1778） 「戦争状態」「自然権の譲 「自然状態＝理想状態」「自 「自然状態＝平和状態」「社 キーワー 渡」，万人の万人に対する闘 然に帰れ」，一般意志，直接 会契約＝自然権の信託」，抵 ド 争，専制君主国家，『リヴァ