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交通需要予測とJICA STRADA 2008/1/29 (株)インテルテック研究所 吉田禎雄 JICA STRADAを用いた交通需要予測を実施する上で必要な基本的知識をまとめたものであり、交通需要予測とは何か、需要予測にはどのような手法があるのか、需要予測に付随する外生条件の予測はどうするのか、そして需要予測関連ソフトウェアはどのように利用されているのかについて説明したものである。 交通需要予測とは 交通施設整備と交通需要予測 交通インフラの整備は、国土開発計画や地域計画といった上位計画を実現すために必要となる交通関連施設の整備を行うものであり、概ね右図に示す手順で実施される。 交通計画は、上位計画を実施する上で必要となる交通施設の規模や運営方法を決定するための交通需要予測を中心とした交通現況分析から代替案の評価までをさすことが多い。 なお、右図では、交通現況分析や交通需要予測を実施する上で必要なデータ収集（PT調査、交通量調査、交通施設調査など）については、省略している。 交通需要予測の考え方 交通は「仕事をする」、「買物をする」といった人間の意志が介在した経済活動などの派生的需要として発生するものであり、交通は常にある目的を持っている。１つの目的に対応する出発地から到着地までの移動を目的トリップあるいはリンクトトリップと呼んでいる。 交通は活動の派生的需要であることから、交通需要予測を行うためには、交通が発生する原因となる各種活動等を的確に把握する必要がある。これら各種活動が交通目的となるため、交通需要予測は目的別に実施されることが多い。また、交通目的が派生した原因となる活動要因は、交通需要予測モデルにおける説明変数として利用される。例えば「仕事をする」という目的には、就業しているか否かが交通の発生に大きく影響し、その業種によって1日のトリップ数や交通の発生時刻などに相違が生まれる。その上、居住地と就業地がそれぞれ仕事目的の出発地と目的地になり、仕事を終えて家に帰る帰宅目的では、反対に就業地が出発地、居住地が目的地になる。さらに、居住地と就業地の間を移動する手段についても、交通主体である個人の事情により「就業地に駐車場がないから電車で行こう」、「利用できる公共交通がないから車にしよう」、「近いから歩いて行こう」といったように利用交通手段が選択される。 現在、交通計画のための需要予測手法としては、発生集中?分布?機関分担?配分という交通需要推計プロセスを４段階に分割してモデルを作り、予測にあたってはそれらを順次連鎖させて用いるという４段階推計モデルが最も広く用いられている。４段階推計モデルは、全体から細部へと順に交通需要を推計するもので、分かりやすいモデルであるが、理論的一貫性に欠ける、推定値の信頼度が必ずしも高くない、作業量が膨大であるといった問題が指摘されている。そのため、近年、４段階推計モデルの各段階のモデルに改良を加えることや、4段階の各モデルの結果を前段階にフィードバックするもの、個人の交通行動をモデル化する非集計モデル、トリップの発生、目的地、利用交通手段、経路等を同時に決定する統合モデル、1日の行動連鎖を考慮した交通行動モデルといった新しい角度からの試みがなされている。 交通需要予測手法の種類とプロセス 需要予測手法の分類 交通需要予測モデルは、その分析構造からいくつかの側面で分類することができる。ここでは、集計?非集計、確率型?決定型、同時型?連鎖型といった3種類の分類で見てみる。 集計型(Aggregate)と非集計型(Disaggregate)による分類 集計型モデルは、基本的行動単位をゾーンやその他でグループ化ないしは集計して、それらのマクロ的現象をゾーン平均世帯特性といった集計的変数で説明しようというものである。この場合、集計単位の中で交通行動が同質でない場合には集計レベルでの関係によって交通行動を表わせず、因果関係があいまいとなる。しかし、現在の段階ではデータの収集及び分析の容易性などから集計型モデルによる予測手法が多く用いられている。 非集計型モデルは、交通という現象の発生の最小単位である個人を対象として、その交通行動をモデル化しようとするものである。非集計モデルは比較的少ないデータで分析できると同時に、政策変数を含む多くの説明要因を取り込むことが可能で操作性も高いため、交通政策の評価を中心として多くのモデルが構築されている。特に、被説明変数が離散型の機関分担モデルなどでの適用例が多い。 確率型(Probabilistic or Stochastic)と決定型(Deterministic)による分類 確率型モデルは、トリップの回数、目的地、利用交通手段、経路にみられる多くの選択可能性について、そ