日本史A、日本史B.PDFVIP

日本史Ａ、日本史Ｂ 日本史Ａ、日本史Ｂ 第１　高等学校教科担当教員の意見・評価 日　本　史　Ａ １　前　　　　　文 今年度の大学入試センター試験（以下「センター試験」という。）は、現行の教育課程になって ７年目の試験である。「日本史Ａ」の受験者数は3,302人で、昨年度に比べて1,320人（約28.6％） 減少した。センター試験全体の受験者数は1,567人（約0.3％）減少したが、地理歴史科全体では 21,640人（約5.9％）増加した。受験者数が「地歴Ａ科目」ではいずれも大幅に減少し、「地歴Ｂ 科目」ではいずれもやや増加している。今年度から新たな科目選択の方式が採用されたことなどに よる受験動向の変化がその要因の一つとして考えられる。 一方、今年度の「日本史Ａ」本試験の平均点は48.74点で、昨年度より3.27点下降し、標準偏差 は18.77と昨年度より1.67ポイント上昇した。この要因としては、受験者が比較的苦手としている 「年代順配列問題（６択）」の出題が、４題（12点）から５題（15点）に増加したことや、文化史 や戦後史などに極端に正答率の低い難問が増えたことなどが考えられる。「日本史Ａ」本試験の平 均点と「日本史Ｂ」本試験の平均点（67.92点）との較差も19.18点と、昨年度（12.10点）に比べ て拡大した。概して今年度は「日本史Ａ」の設置の趣旨を生かす良問が多かったと評価できるが、 今後は「日本史Ｂ」との平均点較差の更なる縮小や平均点60点を目安とするセンター試験の本旨・ 目標に沿った出題が望まれるところである。そのためにも高等学校における授業時間数や実態に合 わせた適切な出題内容、難易度については更なる検討を行い、特に「日本史Ｂ」との共通問題につ いては平均点に与える影響が大きいので、問題作成上において特に御配慮をお願いしたい。 以下、今年度の問題について⑴～⑷の視点で分析を行った。 ⑴　高等学校学習指導要領（標準２単位）に準拠し、教科書の内容や授業実態に即したレベル・範 囲・内容の問題であったか。 ⑵　「日本史Ａ」設置の趣旨を生かした「世界史的視野に立った理解」や「歴史的思考力」を評価 する問題であったか。 ⑶　分野別バランスが取れていたか。 ⑷　出題方法や表現などが適切であったか。また、60分の試験問題としてふさわしかったか。 ２　試験問題の形式・分量・範囲 ⑴　出題形式では（表１）、「二つ以上の事項（人名･単語など）の組合せ」、「正しい文章を選択」、 「二つ以上の文章の正誤の組合せ」の設問がそれぞれ８題を占め、例年どおり多様な形式を用い て受験者の総合的な学力を測ろうとする配慮が見られる。「古いものから（年代）順に配列」さ せる設問が昨年度の４題（12点）から５題（15点）と１題増加したことは、全体の平均点を下 降させる要因の一つになったと思われるが、全体的に見てバランスの良い出題であった。 ―57― ⑵　全体の分量は、大問６題、問題数34題で、昨年度と同様である。また、第３問と第５問の計 12題（35点）が「日本史Ｂ」との共通問題であった。正答を導くのに複雑で時間の掛かるよう な問題もなく、例年並みの適切な分量であった。 本試験の設問形式 （表１） （　）内は配点 設　問　形　式 平成24年度 平成23年度 平成22年度 正しい事項（人名・単語など）を選択 1題（ 3点） 0題（ 0点） 0題（ 0点） 誤った事項（人名・単語など）を選択 0題（ 0点） 0題（ 0点） 0題（ 0点） 二つ以上の事項（人名・単語など）の組合せ 8題（22点） 9題（26点） 10題（28点） 正しい文章を選択 8題（24点） 8題（24点） 5題（15点） 誤った文章