日本人の身体比例の年令的変化.PDFVIP

人類誌 J.Anthrop.Soc.Nippon 79(2):139-150(1971) 日本人 の身体比例の年令的変化 岡 田 宣 子 お茶の水女子大学家政学部被服学科 要約 示數7項 目を用い,日本人(5歳 ～20歳,各年齢男女各100名)の身体比例 の年齢的 変化を観察 した．また,示数7項 目を組み合わせて身体比例 に基づ く年齢区分を試みた．そ の結果,示 数項 目の年齢による変化様相は男女 とも3つの型(増 加型,減 少型,増 加・減少 型)に分類 出来 る．身体比例 は年齢 とともに変化 してゆ くが,各 年齢の体型を特徴づけて考 える と類似 した体型を一括す ることが出来 る．そ こで Table3のように,身体比例に基づ く年齢区分 を行 なった． らびに京浜・京阪の4地 区,合計17地区 で あ 1. 緒 言 り,調査対象は幼稚園児・小学生・ 中学生・高 最近の青少年の体位 の向上の著 しい状況にお 校生・大学生・一般成人(22歳～26歳)で,い いて,工業技術院標準部の企画により,体格調 ずれ も健康な者 のみを対象 としてい る。年齢 に 査専門委員会は1966～67年に,既製衣料等の ついては計測 日においてχ士0.5年の者 をχ歳 基準寸法および呼び寸法の統一を目的 として, としてい る。 この抽 出母集団の身長・体重につ 日本人の体格調査(日 本全国にわたる17地区を いて,1966年度の文部省 の全国成績(文 部省, 調査地区 とす る)を行なった。 この調査結果は 1968)と比較 した結果(文 部省成績 は今回成績 日本人の体格調査報告書 として1970年4月に公 と年齢を一致 させた修正値である),体格調査 表 された(日本規格協会,1970)。 資料の体格 はやや〓せ ぎすで都市型 の傾 向を示 著者 はこの体格調査研究で検討 されていない してい る。これは調査地区を都市に求あたこと 示数項 目に注 目し,体格調査 における計測原票 によるもの と思われ る。 の一部 を使用 し,日本人男女の身体比例の年齢 研究資料は,体格調査全国資料の うちの5歳 的変化 を観察 した。なお,本研究の解析項 目は ～20歳に至 る16年齢(男 子13,640名,女子13, 被服寸法に関連 してはいるが,身体の計測項 目 845名)について,無 作意抽出 した男女各年齢 の指標にな り,最近の 日本人の体型を推測出来 100例(合計3,200例)である。 るもの と考えた。 研究方法III. II.資 料 計測項 目は長径5項 目(身長・足長・胴高・ 研究資料の抽出母集団は,4歳 ～29歳に至 る 下肢長・袖丈),周径4項 目(胸 囲・頭囲・胴 男女合計30,277名を対象 として行なわれた 日 囲・腰囲)の合計9項 目である。また示数項 目 本人の体格調査における全国資料である。 この は足長/身 長・胴高/身 長・下肢長/身 長・袖 体格調査における調査対象地区は 日本全国にわ 丈/身長・ 頭囲/胸 囲・胴囲/胸 囲・腰囲/胸 たる13の中都市(旭川市・秋田市・福島市・ 千 囲の合計7項 目である。なお5歳・6歳(胴 く 葉市・長野市・金沢市・静岡市・名古屋市・奈 びれの認 あ られない体型)で は胴 囲・腰囲およ 良市・鳥取市・広島市・高知市・鹿児島市)な びこれ らに関す る示数項 目は含まれない。 140 岡 田 宣 子 計測方法については,身長・前上腸骨棘高・