日臨内専門医制度について思うこと.pdfVIP

平成21年３月31日 宮 崎 県内 科医会 誌 第75号 【巻頭言】 ［巻　頭　言］ 日臨内専門医制度について思うこと 宮崎県内科医会副会長　 小　牧　　　斎 宮崎県内科医会は各県内科医会と意を一つにし、日本臨床内科医会（以後日臨内）と連 携を図っています。日臨内は現在会員数16,500名余を擁する開業医を中心に勤務医も含む 臨床内科医のための団体です。平成20年度には社会的に公益性のある、責任ある団体と して認められ一般社団法人となりました。事業内容は臨床内科学の調査研究、知識の普及、 学会などの集会の開催、生涯研修の実践、地域医療の推進、社会保険診療ならびに介護 保険制度の検討など多岐にわたっております。診療報酬改訂に当たっては、内科系学会 社会保険連合に４人の委員を送って発言の場を確保していることもあり、内科系開業医 の現場の要望・意見が唯一届けられる団体であります。 日臨内に入会する魅力の一つに専門医（認定医）制度がありますが、資格を取得する ことのメリットや、資格を取得または更新するための条件について質問を時々耳にしま す。地方にいる開業医にとって、条件をクリアするのに医院を休診にして学会等に参加 しなければならず、交通手段、時間、経費など考えると確かに大変です。ましては僻地 で開業している医師にとってはなおさらでしょう。勉強する意欲のある医師がどこにい ても取得できるシステム作りが必要でしょう。それ故、専門医（認定医）の取得・更新 するための研修項目にも工夫をしていただきたいものです。現在の研修項目には、医学 会・総会参加以外に、地区内科医会催行講演会への参加、コンベンションビデオでの学習、 日臨内主体または協同の臨床研究参画、医療・保険・福祉に関する論文提出など認めら れ望ましいことと思いますが、更にその外地域住民を対象とした講演活動や学校医とし ての講演活動、産業医としての仕事なども幅広く研修項目としてとりあげ評価してほし いと願います。 県内科医会は過去、現在、未来を通じ内科学に興味ある方々に対し遍く門戸を開き会員 募集していることもあり様々な会員がおられます。臨床内科医としての経験、知識、技 術は医師それぞれで異なります。また年齢、働く場所、立場で目指してきたものも異な ります。若い頃は、研究に没頭し、高度な知識・専門技術を習得するのが必要ですし、 中堅になれば責任ある立場で治療を中心とした臨床に取り組む一方後輩の技術指導・教 育にも力を注がないといけません。熟年になればそれまで培った知識と技術で、患者の 身になった医療、癒しの医療を提供することも大事になってくるのではないでしょうか。 このような状況ですので、全ての会員に満足いく研修制度の構築は難しいと思われます が、よりよい研修システムを作り上げるために日臨内は今後も努力してほしいものです。 臨床内科学の知識向上のためには専門医（認定医）制度はあってもいいかもしれません。 しかし、この制度は一つのハードルであって、生涯にわたり研修をすることに大きな意 義があるものと捉えるべきではないでしょうか。医師として病を患った人々の命を救う ことこそ医療の原点であることを忘れないように、日頃から自主的、継続的に研鑽・研 修に取り組む姿勢が必要ではないかと思っています。 −1− 【特　集】 宮 崎 県内 科医会 誌 第75号 平成21年３月31日 JSH 2009：高血圧治療ガイドライン改訂のポイント 宮崎大学フロンティア科学実験総合センター 生命科学研究部門生理活性物質探索分野