砒素及化合物系特殊健康诊断项目(案....pdfVIP

資料７ 砒素及びその化合物に係る特殊健康診断項目について（案） １．砒素及びその化合物に係る毒性 一般に無機砒素化合物は毒性が高く、有機砒素化合物の毒性は低いとされており、急性中毒は 無機砒素による場合が多い。三酸化砒素の場合は、これを多量に飲み込んだときの急性中毒症 状は、口腔、食道の粘膜刺激症状、焼けるような食道の疼痛、嚥下困難をきたす。その後悪 心、激しい嘔吐、著明な腹痛、水様性下痢をきたし、脱水によるショック、筋痙攣、心筋障 害、腎障害が出現し、早い場合は 24時間以内で死亡する。摂取後２～３週ごろより筋の萎縮、 運動失調、上下肢末端の知覚異常を伴う多発神経炎が出現する 1)。 職業性の災害事例として、ガラス製造窯から集塵機を経て煙突へ流れる空気量が急激に増 加した結果、集塵機の能力を超え、煙突から亜砒酸を含む粉塵が飛散した。清掃にあたった 職員等にのどの痛み・下痢等の症状がみられた。2） 慢性中毒の症状は、一般症状として脱力感、易疲労性、食欲減退、体重減少、易刺激性が あり、消化器症状として悪心、下痢、腹痛がある。 最も特異的な所見は皮膚にみられ、接触皮膚炎、砒素黒皮症と呼ばれる色素沈着、色素脱 出、手掌足底の角化、皮膚潰瘍がある。次に特異的な所見は末梢血管の炎症で、先端紫藍症、 レイノー現象が見られる。その他、貧血、門脈性肝硬変、腎障害が認められる。経気道ばく 露の場合は、粘膜刺激症状がみられ、鼻中隔は炎症、びらん、壊死の結果、穿孔をきたし、 気道は慢性気管支炎を起こすことがある。末梢神経障害は急性中毒に比べて少ない 1)。 砒素は発癌物質として知られている。発癌性のある砒素化合物は特定されていないが、最 近の研究で、発癌物質はジメチルアルシン酸（DMA）の還元型かその周辺物質であると考え られるようになってきた。無機砒素は、生体内でモノメチルアルソン酸（MMA）、ジメチル アルシン酸の順に代謝される。 砒素により、皮膚の Bowen 病、有棘細胞癌、基底細胞癌が多発することは多くの疫学研究 で明らかにされている 1)。また、肺癌は経気道ばく露した労働者集団で多発しており十分な 証拠があるとされている 1)。 ２．砒素及びその化合物に係る健康診断項目の考え方 平成１９年化学物質による労働者の健康障害防止に係るリスク評価検討会報告書において、 砒素及びその化合物（三酸化砒素、アルシン、ガリウム砒素を除く。）については、３事業場・ 計２５人について調査を行ったところ、２事業場・計２２人に二次評価値（3μg/m3）を超え るばく露が見られ、作業を限定せず特殊健康診断の実施等が必要と指摘した。なお、アルシ ン、ガリウム砒素については、個人ばく露測定値がいずれも二次評価値以下であり、リスク は低いと考えられるので、関係事業場は特殊健康診断等の対象外とした。 無機の砒素化合物は、亜砒酸、モノメチルアルソン酸、ジメチルアルシン酸の順に代謝さ れるので、慢性毒性は三酸化砒素と同じと考えてよく、三酸化砒素と同様の健康診断を行う ことが適当である。 このため、砒素及びその化合物の中に三酸化砒素を取り込み、特定化学物質障害予防規則 に定める三酸化砒素の健康診断を、砒素及びその化合物に係る健康診断に改正して、必要に 応じて健康診断項目の改廃を行うことが適当である。 ３．砒素及びその化合物に係る健康診断項目 砒素及びその化合物を長期間曝露した者に対しては、肺癌、皮膚癌の早期発見、早期治療 が健康診断の主な目的となる。 （１）１次健診 基本的には、三酸化砒素の健康診断を、砒素及びその化合物に係る健康診の項目として 問題はないが、作業条件の簡易な調査を追加し、２次健診の必要性の判断に資するととも に、作業の改善に役立てる必要がある。また、尿中ウロビリノーゲンの検査を削除するこ とが適当である（詳細は、「特殊健康診断の健診項目に関する調査研究委員会報告書（平成 ２０年３月；中央労働災害防止協会労働衛生調査分析センター）」参照。）。 これらの考え方については、他の物質に係る健康診断にも取り入れるべきである。 （２）２次