地层処分及微生物影响ー関.pdfVIP

地層処分に及ぼす微生物影響のシミュレーションに関する技術開発 Simulation for Influence of Microbes on Geological Disposal 石川島播磨重工業株式会社： 菅野 毅 福永 栄 栃木 善克 核燃料サイクル開発機構： 油井 三和 吉川 英樹 吉田 泰 青木 和弘 京都大学： 工藤 章 静岡大学： 加藤 憲二 東京大学： 難波 謙二 宮坂 郁 サンディア国立研究所： Yifeng Wang （Sandia National Laboratories） 標記の研究を平成 14 年度より開始した。本報告では平成 15 年度に得た成果を報告する。 要旨 １．目的 本開発では、地下水・鉱物・各種溶解化学種間の酸化還元反応、収着／核種取り込みなど多面 的な微生物影響を扱うシミュレーションコードを開発することを目的とする。微生物が地層処分 後の核種移行挙動に及ぼす影響は、現在のところ定性的評価に留まっているが、本開発を通じて、 定量評価手法を確立することが可能となる。微生物影響のシミュレーションコードを開発し、検 証を伴った総合的なコードとするため、シミュレーションに用いる微生物反応の諸係数は、模擬 処分場環境の実測データから求め、その妥当性は掘削井による現場観測によって保証する。 本開発の目標は、①微生物活動に伴う各種反応を含む各事象の総合的取扱いが可能なコードの 開発、②コードの正確性を保証する地下圏堆積層における実測データの取得とそれによるコード の整備とコードの検証、③最終的な微生物影響の定量的予測、の３項目とする。具体的な方法と して、国内における解析の自由度・技術取得に配慮したコードの開発、微生物に関する室内試験 （I-129、Pu-239 等を用いるホット試験を含む）・フィールド調査の実施とコードへの取り込み、 そしてレベルアップしたコードによる評価を行う。その結果、微生物影響シミュレーションコー ドが実用化され、地層処分に及ぼす微生物影響の総合的予測が可能となり、地層処分の社会的受 容性の向上と処分場の最適設計が可能となる。 ２．技術開発成果 2.1 微生物影響シミュレーションコードの開発 日本の地層処分システムに対する微生物影響を評価するシミュレーションコードとして、既存 の微生物影響評価解析コード BIORXNTRN をベースに国産コードの開発に着手した．これを有 機物含有地下水が流入する好気性の帯水層に適用する予備解析を実施した結果、微生物の酸化還 元反応に用いられる電子受容体の濃度によって微生物群が交替していく結果が得られ、 BIORXNTRN コードの重要な特長を再現可能であることが明らかとなった。 2.2 基本データ、確証データの取得 シミュレーションコードに必要な微生物反応の諸係数を決定し、またコード検証に繋げるた め、以下の実測データを取得した。 (1) 微生物と核種の相互作用に関する試験 微生物と核種（I-129）の相互作用に関するバッチ試験から、培養した嫌気性微生物群の I-129 －1－ の分配係数(Kd)は 120mL/g 前後であり、滅菌した微生物群の 30～50mL/g より明らかに高いこ とを示した。また、バイオフィルムを模擬するメンブレン付着微生物を用いた連続通水試験にお いて、１層で 60～80%、３層で 90%以上のヨウ素除去率を確認した。 (2) 微生物と地球化学の相互作用に関する室内試験 地下環境を模擬するモデル実験装置を用いた試験等から、電子受容体ごとの微生物反応速度は、 脱窒(20~330/y)、鉄還元（33/y）、硫酸塩還元（4~8/y）の順に低下していく傾向があること、電 子供与体としての実地下水の有機物の酢酸と比較しての利用性が電子受容体の種類で変化するこ と、浮遊性微生物の割合は実地下水通水時に1%まで低下することを示した。 (3) 微生物と地球化学の相互作用に関するフィールド調査 茨城大広域水圏センター内の浅い掘削井及び近傍に新たに掘削して得た堆積物コアサンプルの 精査から、地下堆積物中の細菌種として硫酸塩還元菌を含む 100 種以上のものを遺伝子解析によ り確認し、掘削井で