中村元博士生诞100年.PDFVIP

中村元博士 生誕 100 年 ２０１２年１１月２８日 中村元博士生誕 100 年記念事業実行委員会 ＜ニュースレター＞ 中村元博士生誕 100 年 「思想とは生活者のうめき声を聞くことである（『学問の開拓』）」 ～いまに生きる思想と語り継ぎたいいのちの軌跡～ 2012 年７月 中村元博士生誕 100 年記念事業実行委員会 本年は、世界的なインド哲学・仏教学者である故中村元（はじめ）博士（1912 年 11 月 28 日松江市生まれ、1999 年 10 月 10 日逝去、東京大学名誉教授、文化勲章受章者） の生誕 100 年にあたります。 半世紀に及ぶ博士の学究領域は実に広大なもので、古代インドを中心としたインド哲 学、仏教学など東洋思想から西洋哲学まで、また比較思想、歴史学などの領域にも及ん でおり、時代としては古代から現代まで、地理的には日本、韓国、中国、インドから ヨーロッパ、アメリカに至っています。 思索、研究の根底には人間生活への視点があり、視線の先には「人類」や「世界」が ありました。代表的著作の一つに『世界思想史』があり、この最後は以下のように結ば れています。 「思想は種々の形で表明されるけれども、人間性は一つである。今後世界は一つにな るであろう。･･･世界の哲学宗教思想史に関するこのような研究が、地球全体にわたる 思想の見通しに役立ち、世界の諸民族のあいだの相互理解を育てて、それによって人類 は一つであるという理念を確立しうるにいたることを、せつに願うものである」 博士の、学問を通じた世界平和への熱い願いが込められています。 また、博士は‘一番槍’という言葉を好みました。専門領域に閉じこもることなく、 哲学、宗教がかかわる広範な分野に関心を持ち、自らの視点で幾つものテーマに果敢に 挑戦しました。広いばかりではなく、批判を恐れず、どの領域においても斬新で、独創 的・先駆的な研究を行ってきました。 著した論文、著書は英語、ドイツ語など外国語によるものも含めて 1,500 本に達しま す。主な著作は、『中村元選集（決定版）』（全 32 巻、別巻 8 巻）に収められています が、これらは、学問世界だけでなく、一般の人々にも大きな恩恵をもたらしました。 それは難解な漢字、言葉が多く、縁遠い存在だった仏典や仏教辞典などを、日常的な 現代日本語で表わすのに大きな努力を払ったことにあります。 成果の一つが、『ブッダのことば』『ブッダ最後の旅』など、一連の原始仏典の平易な 言葉による翻訳です。いま一つは、30 余年をかけた『佛教語大辞典』全４巻です。 後者はすっかり出来上がっていた約 3 万語分の原稿を紛失されるという事故を乗り 越え、その後 8 年を経て完成しました。これらの著作は、その後も改訂増補が加えられ、 いまなお多くの人々に読まれ続けています。 博士は生涯を通じて、学問の自由、普遍性を追い求める姿勢を貫きました。東京大学 を退官すると、学ぶ意欲のある人であれば誰もが自由に学ぶことのできる場として、（財） 東方研究会を母胎とする東方学院を東京、神田に設立。‘現代の寺子屋’と称したここ で自分の研究を続けると同時に、運営し、教え、若い研究者たちの育成に努めまし