Title潮汐に対する河口二層流の応答北海道大學工學部研究報告.pdfVIP

Title潮汐に対する河口二層流の応答 Author(s)吉田, 静男 Citation Issue Date1977-09-16 Doc URL /2115/41430 Right Type bulletin (article) Additional Information Instructions for use 北海・道大学工学部研究．報告 第85号（昭和52年〉 潮汐に対する河口二層流の応答 　吉　田　静　男 （i昭禾1152■．f－3月　30　日掛聚H） 　　Shizuo　YosHIDA （Received　March　3，　1977） Abstract and　on　an　outflow　pattern　of　fresh　water． retical　considerations． of　the　tidal　eurrent　to　the　mean　velocity　of　fresh　water． direct　effect　of　the　tide． 1．はじめに 　　　1ヨ本では古来河口を自然の漁港として利用してきたが，近年利水或は海上輸送の点で有利で ある事から，その近くには様々な工場が立ち並び，活況を呈している。 　　　勿論，河口近くの肥沃な土壌を利用しての農業も盛んであって，河口周辺はまさにあらゆる 産業の基地となっている。しかし，周知のごとく，河口には塩水襖の遡上による塩害という利水 上の問題が古くからあり，加えて，最近では工場廃液或は都市汚水が河川に排出される專による 沿岸漁場の汚染という，深刻な問題も生じている。 　　　この様な問題の水理学的な部分を解明しようという試みは，現在ようやく軌道に乗り，過去 研究されてきた河口　　　：層流の知識をもとに，多くの問題が取扱われ，得られた成果も少なくない。 しかし，従来のこの種の研究では，河口汚染問題には欠かす事の出来ない潮汐の効果に関しては， 取扱いの複雑さが原因であまり考察が進んでいないのが実状であって，本質的な問題解明は，む しろ今後の研究にかかっていると言ってよいであろう。 102 吉　田　静　男 2 　　こうした現状を踏まえ，問題解決の基礎となる弱混合型の河rl二層流に与える潮汐の影響を， 水理実験，野外観測，及び理論考察を通じて，広範黙こ検討を加えてみた。 2．　実験装置 　　河口から沖の淡水の流況，及び河口から上流における比較的広範囲の二層流の観測を行なう 必要性から，図！に示す様な外海に相当する広い水槽と，河川に相当する長い水路からなる模型 を使用した。模型は10mm厚の透明なアクリル樹脂で作られており，壁面を通じて色素の動き を観測する事が可能である。潮汐は國1の広い水槽の下部（ビニール膜の下方）に，淡水を自動綱 御バルブを通して出し入れすることによって発生させたが，この方法によれぽ，塩水に不必要な 乱れを生じさせずに任意の振幅及び波長の正弦波を作り出すことが出来る。 塁 〉 桑工…L璽璽；≠＝＝一＝＝＝＝＝一司 　　　　　　　　　　　　　　図一1 　　塩水模の挙動は8mmカメラによる解析からだけでは不十分な点があるので，特殊な光学系 を使用した。その光学系の概略が図1に示されているが，その測定原理は概ね次の通りである。 　　まず光源のキセノンランプがパルス的に輝くと光は凹面鏡で平行光線となって数多く並んで いる平面鏡に到達する。この平面鏡により水路に直角に屈折された光は幅約0．3mmのスリット を経て印画紙をスリット幅だけ感光させる。この時，表面と界面を通過する光が屈折あるいは全 反射を強いられるから，表面と界面に