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関東経済産業局 有限会社谷村玩具研究所（栃木県壬生町） ～おもちゃ開発のアイデアを新分野で活用～ １．家族で研究開発を支え長年の夢を完成 有限会社谷村玩具研究所は、谷村社長の長年の夢だったおもちゃのレンズの活用とい う目標を目指し、家族全員で研究開発をサポートし、ＬＥＤ（発光ダイオード）の光拡 散という特許の権利化を実現した企業である。 谷村社長のおもちゃへの関わりは、浅草でのおもちゃ会社の試作品を制作する試作屋 から始まる。各種のヒット商品を開発するが、その後、製造部門が外国に移行しリスト ラされることに。おもちゃに対する思いから開発会社を設立し、開発してきたおもちゃ は数えきれないほどある。企業からの要望に基づき、「電気ごま」「大回転ロボット」 「ウォーターゲーム」など誰もが知っているおもちゃを開発した。それらの開発成果は 特許や実用新案として契約先の企業において権利化されていた。それらが特許制度との 関わりの始まりである。 谷村社長は根っからのおもちゃ好きで、報酬をもらってはおもちゃを買いあさり、分 解しては技術の研究に明け暮れていた。そのことが現在の研究開発の基礎となっている。 ２．おもちゃの技術開発のアイデアを新しい技術に結びつける 光拡散技術は、おもちゃの開発で利用されなかったアイデアとＬＥＤとの出会いから 生まれた。常にアイデアを、いろいろな分野で利用できないか考えることが、新技術の 開発に繋がった。 おもちゃの生産が外国へシフトしていく中、何か新しい商品の開発を模索していたと ころ、ある時、過去に自動車ゲームの部品として研究したレンズを眺め、ＬＥＤの光源 と組み合わせて新しい照明を思い付く。当時、ＬＥＤは出始めたばかりの部品で知識が あまりなく、秋葉原に出かけては店員に聞いて知識を蓄えていった。しかし、ＬＥＤ自 体には拡散性がないため、拡散するためのレンズの試作を繰り返していったところ、角 度に関係なく光源が360度拡散できるレンズの開発に成功する！ すぐに特許出願をしたものの審査官より拒絶理由通知が通知されることになる。審査 官との議論の末に補正を繰り返し特許となった。社長は当時を振り返り審査官とのやり とりは「剣と剣の戦いのようだった」と苦笑しながらも、特許の重要性や特許制度の理 解のためには、ここでの努力が非常に重要だったと語る。ＬＥＤと光拡散の技術により 長時間使用可能な間接照明が開発され、病院等で利用されている。 ３．光拡散技術を基礎に他社と共同開発で更なる活用を目指す 拡張性のある光拡散技術の基本特許に着目した地元企業と提携し、権利を基にライセ ンス先の企業と共同で新規技術の開発をしているところである。知識の修得に前向きに 取り組み、更なる技術の開発を目指している。光拡散の分野はこれからの分野であるた め、競合他社も出始めている。基本特許の権利化により防衛するとともに、技術の応用 範囲も広範にわたることから、これからどのような商品が市場に出るかが今から楽しみ である。 30 特許活用企業事例集 Vol.2 有限会社谷村玩具研究所 【特許活用製品】 特許光学レンズ 光学照明器 ＜会社概要＞ ○代表者名 代表者 谷村 富久 ○本社所在地 栃木県下都賀郡壬生町おもちゃのまち1-5-23 ○創業 1976年 ○資本金 300万円 ○従業員数 2人 ○主要製品 光拡散用レンズの設計及び加工販売 31