病弱教育支援だより.pdfVIP

秋田県立ゆり支援学校道川分教室 第 １ 号 病 弱 教 育 支 援 だ よ り 発行日；平成２８年１２月１５日 病弱 ・身体虚弱特別支援学級設置校訪問を終えて 秋田県立秋田きらり支援学校 病弱教育アドバイザー 進藤 忠雄 秋田県の病弱教育を充実させることを目的とし、県内病弱 ・ 身体虚弱特別支援学級設置校22校 （小学校11校、中学校11校） と25市町村教育委員会を訪問しました。 在籍している27名の児童生徒は、心臓疾患や糖尿病、甲状腺 機能障害、脳脊髄液減少症、白血病、適応障害等々、多種多様 な病気を抱えながらも、それぞれがほとんど欠席することもな く元気に登校し、楽しく学校生活を送っていました。真剣に学 習に向かっている姿がとても印象的でした。これは、各学校が対象児童生徒の病気の理 解に基づいて合理的配慮の提供に努めているからと考えられます。もちろん市町村教育 委員会の後押しがあってのことです。 病気療養児は、生後間もなく大きな手術を何回も受けたり、つらい治療に耐えたりし てきたからこそ、学校に通学できることがうれしく、友達とのつながりを実感しながら 勉強もがんばることができるのだろうと思います。 「病気によって、患者となり子どもでなくなる。教育によって、患者から子どもにも どる。」という言葉があります。病気療養児にとって、学校や教師はとても大きな存在 であり、毎日の学校生活は健康回復への意欲を育てることにつながっています。 一方で、病気やけがで治療や入院している児童生徒の大多数は通常の学級に在籍して いるという状況があります。平成25年度の文部科学省の調査では、病気やけがで30日以 上の長期入院している児童生徒が6,300人おり、その４割に当たる2,520人が在籍校によ る学習指導が行われていないという実態が明らかになりました。平成27年度 「秋田県の 学校体育 ・学校健康教育資料」によると、県内では1,676人いる長期欠席者 （30日以上） のうち、病気やけがを理由とするものが329人で約２割を占めていることがわかります。 「病気について配慮が必要な子どもはさまざまなところにいる」「病気を抱えている 子どもたちに対して、教育は病気が治ってから受ければよいものではない」「病気の時 でも教育はできる」「病気の時だからこそ、行うべき教育がある」のです。多くの病気 療養児への適切な学習支援や心のケアについては、通常の学級の担任の先生方を含め、 それぞれの学校が責任をもって行わなければなりません。訪問を終えた今、通常の学級 に在籍する病気療養児への支援の充実が、最も重要な課題の一つであると考えています。 今年度、早い時期 （６月～８月）にすべての設置校を訪問することができ、学級の現状や 教育的ニーズなどを把握することができました ［訪問率100％］。また、多くの学校で授業参 観や情報交換等の機会を設定してくださり、児童生徒の病気等の状態や教室環境、指導 ・支 援の具体を知ることができました ［授業参観設定率 72.7％］。 ご多用の折にもかかわらず、快く訪問を受け入れてくださった皆様に心より感謝いたしま す。ありがとうございました。 （ゆり支援学校道川分教室 教頭 髙橋 斉） - 1 - 第１回秋田県病弱教育研修会 （兼）病弱 ・身体虚弱教育担当教員研修会 平成28年７月28日 （木）9:00～12:00、秋田きらり支援学校を会場に、第１回秋田県病弱教育研修 会 （兼）病弱 ・身体虚弱教育担当教員研修会を開催しました。夏季休業中の開催であったため、小 ・ 中学校並びに特別支援学校職員等約120名の参加を得ることができました。 講演では、秋田大学教育文化学部准教授の藤井慶博先生か ら｢病気の子どもの支援～インクルーシブ教育の視点から～｣ と題してお話をいただき、本県の病弱教育の現状と課題を再 認識する良い機会となりました。また、合理的配慮の視点か ら考えられる必要な支援について