大月市立中央病院.pdfVIP

はじめに 本格的な少子高齢化社会の到来、疾病構造の変化など市民の皆様の医療に対する要望 も多様化・高度化が進んでおります。しかし、一方では自治体による病院経営は、全国 の自治体病院の過半数が経常損失を生じるという厳しい状況にあります。最近では病院 経営の再建を図る視点から公的病院の広域的な統廃合や運営を全面的に民間に委託す る自治体もあります。 また、厚生労働省が本年10月に発表した医療制度改革試案のなかに「患者本位の医 療提供体制の実現」が新たな取り組みとして取り上げられており、入院から在宅医療ま で地域医療機能の分化・連携を推進することが言及されております。 このような状況のなかで、大月市立中央病院は、今後どのような診療機能・規模の病 院を目指すのか、大局的なビジョンをもって策定し、それを実現するための病院改革を 進めていくことが求められております。 私が目指す病院改革は、きわめて当たり前のことをしようとするにすぎません。すな わち、「清潔で安全、合理的な病院の建物に、機能性の高い機器を揃え、良く勉強し、 勤勉に働く倫理観旺盛な医師に囲まれ、博愛にあふれ、優しい看護師さんのいる病院」 を実現しようとするものであります。 この改革の実現のためには、病院の努力だけではなく、広く地域の医療機関をはじめ とする関係各位の協力が必要であり、医療制度改革にも示されている地域医療機能とい う視点からの取り組みが不可欠となります。 今回の基本構想では、以上のような視点から「市民に信頼される病院の実現」を目指 し、現在の狭隘化した施設の建替えや提携先である東京女子医科大学を候補とした指定 管理者制度による病院運営も視野に入れた検討を進めてまいりました。 本基本構想は、市民の皆様や議会のご意見を取り入れていくための第一段階として位 置づけられるものであり、今後も継続的な検討を重ね、市民の皆様にとって望ましい病 院の整備を進めてまいります。 平成17年10月 大月市長 西室 覚 基本構想にあたり 本年4月の大月市と東京女子医科大学の提携を機に大月市立中央病院の院長を拝命し、 半年が経過いたしました。この間、大月市、市議会議員各位、医師会をはじめとする関 係各位の当院の運営に関する全面的なご協力と市民の皆様の病院に対するご期待に身 の引き締まる思いで病院経営を進めてまいりました。 しかしながら、当院におきましても新しい研修医制度の発足に伴う全国的な医育研究 機関の医師不足状態のもとで、市民の皆様のご期待に満たないことを危惧しております。 このような状況を一刻も早く打開するために、大月市が進める病院改革のもとで、従 来までの病院経営の発想にとらわれず、今後の医療環境のなかで将来にわたり発展し続 ける新しい病院を目指し、基本構想を検討いたしました。 本基本構想におきましては、国の政策が目指す地域完結型の医療を念頭に置き、地域 の医療機関や近隣の公的病院との連携の推進、提携先である東京女子医科大学との全面 的な病院運営に関する協力体制を踏まえ、今後の病院が備えるべき診療機能と規模、運 営のあり方につきまして検討を行ってまいりました。 その結果、従来までの公設公営方式から公設民営を目指した病院事業としての運営に より、これまで以上に市民の皆様のニーズに対応できるとの判断をいたしました。 当然、本市にとりましては、新しい試みでありますので、今後とも継続して市民の皆 様をはじめ関係各位のご意見を病院の目指すべき方向性に反映していきたいと考えて おります。 平成17年10月