口腔外科領域の感染症に対するCefpiramide (SM-1652) の使用経験.pdfVIP

CHEMOT HERAPY 806 MAY1983 口腔外科領 域の感 染症 に対す るCefpiramide(SM-1652)の使用経験 横尾恵美子 ・橋 本 賢 二 ・大 西 正 俊 ・塩 田重 利 東京医科歯科大学歯学部第一口腔外科学教室 草 間 幹 夫 ・藤 林 孝 司 東京医科歯科大学歯学部第二口腔外科学教室 口腔外科領域 の感染症30例に,Cefpiramide(CPM,SM-1652)を使用 し,以下の結果を得た。 判定不能 の1例を除いた29例の治療効果は著効8例,有 効18例,無効3例 で,有効率は89.7% であった。 細菌学的には,膿 汁 よ り細菌の検 出された ものは15例 で,グ ラム陽性菌群が多かった。 副作用 としては,悪 心 ・嘔吐,下 痢,発 疹が各1例 認め られ,臨 床検査異常 としては,血小板減 少,Al-Pase上昇,BUN上 昇が各1例 認 められた。 顎 口腔領域の感染症 は,飼歯お よび歯周組織疾患 に由 投与方法は,1日1～4gを1～2回 に分け,静注ある 来す る例が多 く,起炎菌 は好気性菌か ら嫌気性菌まで幅 いは点滴静注 した。投与期間は原則 として3日以上とし 広 く検出 され,混 合感染 も少 な くない1)。これ ら感染症 たが,実 際の投与期間は1～13日間で,総投与量は2～ の治療には,広範 囲のスペ ク トル を有 しMICの 低い抗 269であった。 生物質に よる化学療法が必須 である。 II.治 療 成 績 近年,住 友化学工業 と山之内製薬 の共同に よ り開発 さ 効果判定 は,「歯科 口腔外科領域 における抗生物質の れたCefpiramide(CPM,SM-1652)は,広範囲抗菌 効果判定に関する委員会案」(日本 口腔外科学会2))に従 力を有す る第3世代 のセ ファロスポ リン系薬剤でFig.1 って,Table2に示す13項 目の臨床症状について評価 に示す構造を有する。本剤は,従 来 の合成セ ファロスポ 採点 した。効果判定 日は,投与後3日 目とし,その時点 リン系薬剤 よりも β-lactamaseに安定であ り,かつ グ の合計点数 を投与開始 日の合計点数で除 した値(評点 ラム陰性菌 に対す る抗菌力が期待 され る。 比)が0.35未満 を著効,0.35以上0,70未満を有効, 0.70以上 を無効 とした。 Fig. 1 Chemical structure of CPM 対象患者30例 の治療効果は,Table1に示 したよう に,著効8例(27.6%),有効18例(62.1%),無効3 例,判 定不能1例 で,有効率 は,89.7%であった。1日 投与量 と治療効果 との関連 はTable3に示すように,投 与法 に よる治療効果 の差 は明らかでなかった。 細菌学的検索では,15例 に膿汁よ りの菌を検出して 今回,わ れわれは 口腔外科領域の各種感染症患者に本