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国際経営論 国際経営論 于　喚洲 第1部　国際経営とは何か 第１章　国際経営の世界 １．国際経営とは （１）国境をこえる経営 国内経営：生産、販売、研究開発、あるいはサービスの提供など経営活動がすべて一国の内部で行われるとき、その経営を国内経営と呼ぶ。 国際経営：経営活動の一部あるいは多くが一国の国境をこえて海外で行われるとき、その経営は国際経営である。 国際経営活動の種類（日本のケース） 一国から海外に出て行く活動 輸出、海外生産、技術供与 海外のから一国に入れる活動 輸入、技術導入、外国企業と国内合弁 （２）多国籍企業 定義：一般的には、海外に子会社や合弁会社をもって国際的に経営活動をしている企業を多国籍企業という。 多国籍企業を数量的に定義する必要がある 例えば、製造業の場合、①最大５００社以内（売上高基準、東証１部上場企業）、②５カ国以上に海外製造子会社を所有、の２つの条件を満たす企業（日本の場合） ２．国際経営の特徴 （１）国際経営の３つの変数ーー経済?政治?文化 多国籍企業の場合、多くの国に海外子会社ヲもっていることから、多様な経済?政治?文化に注意を払いながら経営しなければならない。 多様な経済?政治?文化は、あるときは企業に問題や制約をもたらす。したがって、多国籍企業は、国内企業と比べて、多様な経済?政治?文化にいかに適応するかという困難な問題に直面する。 他方、多様な経済?政治?文化をうまく活用できるチャンスに恵まれているということもできる。 （２）企業と国家の緊張関係 利害が基本的に一致する調和的な関係 利害が相反する敵対的な関係 以上の２つの関係は、場面によって、あるいは時間の経過とともに、一方の関係が強くなったり、他方の関係が強くなるなど変化する。あるいは、２つの関係が同じ程度に同時にみられることもある。 ３．国際経営のフレームワーク （１）国際経営戦略 経営戦略とは、経営活動の基本方針を外部環境とのかかわりにおいて示すものである。 国際経営戦略は、経営戦略のうちとくに国際経営活動を対象にするものであり、国際経営活動をいかに展開するかの基本方針である。 一国からの海外に製品、技術、資本などを出す方法としては、輸出、海外生産、技術ライセンシング（許可）の３つの方法がある、これらの方法のうちどれを使うか、３つの方法のウェイト（重要性、重点）をどのようにするか、などは国際経営戦略である。 輸出の場合、①輸出チャネル、②ブランドについての方針が国際経営戦略として重要である 海外生産の場合、①現地市場向けの海外生産、②輸出用の海外生産の２つのタイプがある 機能別ないし職能別の国際経営戦略もある 生産技術の国際経営戦略 国際人的資源戦略 国際財務戦略 国際法務戦略 国際広報戦略 などがある （２）国際経営活動 製造業の場合 販売の国際化（輸出）（第５章） 生産の国際化（海外生産ないし現地生産） 研究、開発の国際化（海外開発ないし現地開発） 非製造業の様子は第１３章で取り上げる （３）国際経営の組織とマネジメント 組織の種類 海外事業部型の組織 世界的製品別事業部制組織 マトリックス組織 マネジメント ロワ－マネジメントの現地化問題 ミドルマネジメントの現地化問題 経営幹部、社長の現地化問題 （４）所有政策 多国籍企業の海外子会社は親会社の出資比率の点で 完全所有子会社（１００％） 過半数所有合弁（５０％超から１００％未満） 半数所有合弁（５０％） 少数所有合弁（５０％未満） 　　　これらの資本所有形態について決定する時の基本方針を所有政策という。 経営支配の点からは、本国親会社は合弁より完全所有のほうを好む 自社に不足する経営資源を補充するためには、合弁のほうがよい。また、経営リスクを避けるためにも合弁の形でよい。 ４．本国親会社と海外子会社 本国親会社と海外子会社の関係パターン （１）マルチナショナル（多国的） 第二次大戦の前から海外企業進出を進めていたヨーロッパの多国籍企業によくみられた。 海外子会社の独立性が強い。 権力分散型モデル。 （２）インターナショナル（国際的） 調整型連合体 海外子会社は製品開発、経営方法、戦略などを決定するときに本国親会社に依存しており、調整しながら行わなければならない。 （３）グローバル 中央集権型 海外子会社は本国親会社の強い経営コントロールのもとにおかれる。 ５　国際経営の展開 １８世紀、１９世紀 １８世紀半ばにイギリスで始まった工業化の波は、１９世紀半ばにはフランス、ドイツなど大陸諸国、アメリカへ波及し、１９世紀の後半には日本もそれに加わった。 各国工業化のプロセスでは、原燃料と食料の開発?輸入。工業品を輸出する必要がもたらされた。 そうした要請のもとに、１