木曽马.PDFVIP

木 曽 馬 木曽馬は、木曽地方の風土、風俗が長い年月を経てはぐくんだ文化的、民族的遺産です。か つて最盛期には数千頭もの木曽馬が飼育され、農家の人々の暮らしを支えてきましたが、時代の 変遷とともに経済的、用途的価値はしだいに失われ、今では一部の木曽馬愛好者と木曽町など の公共団体等により、この開田高原地区を中心に木曽郡内で約 60 頭、全国的にみても 160 頭ほ どが飼育されるのみとなりました。 この生きた文化財、民族的遺産である木曽馬を後世に残そうと観光面のほか、生涯学習などに 利活用して、人と馬のふれあいの場を作りながら保護 ・育成をしていこうという計画が現在も進めら れています。 木曽馬保存会 木曽馬の由来 木曽馬は北海道の北海道和種 （道産子）や宮崎県日南海岸の都井岬 に野生放牧されている天然記念 物の御崎馬と同じように、 日本で昔から飼われていた 「日本在来馬」とか「日本和種」といわれる馬です。 中 型馬 に属し体高は平均１３３ｃｍです。 明治時代中頃まで、 日本在来馬は 日本中どこへ行っても飼われて いましたが、ほとんどが絶滅してしまい、その 中で木曽馬は奇跡的に高い純血度を保ちながら生き残りまし た。 木曽馬の起源についてははっきりしていませんが、紀元前 1 世紀頃、漢の時代「天馬」あるいは 「汗血馬」 といわれた中央アジア タルバン系 高原馬の血液によって改良されたであろうといわれる蒙古草原馬が、2 ～3 世紀頃朝鮮半島を南下して渡来したと考えられています。そして 5～6 世紀以降になると、渡来する馬 の数は次第に増加し全国に分布していったと思われます。 木曽馬についての最古の記録として、安閑天皇の御代 （530 年代）元木曽の神坂村湯舟沢霧ヶ原に牧場 が設けられ、馬の飼育が始まったと考えられています。その東山道木 曽路の完成 （713 年）によって高い文 化をもった氏族の移動に伴い、同地に持ち込まれた馬が木曽馬の祖先 になったと思われます。 開発が進 むにつれ馬はしだいに奥地へと移動し、木曽馬の生産地が形成されました。いずれにしても、木曽馬は 1300 年に及ぶ長い歴史を木曽の人々と共に生きながらえてきた在来種です。 1180 年木曽義仲挙兵の頃には、木曽馬は優れた馬として名声が高まり、各地の武将は競って木曽に名 馬を求めたと