グルタミン酸输送体glast はグリアによるシナプスの覆い - 北海道大学.pdfVIP

PRESS RELEASE (2017/6/28) 北海道大学総務企画部広報課 〒060-0808 札幌市北区北 8 条西 5 丁 目 TEL 011-706-2610 FAX 011-706-2092 E-mail: kouhou@j imu.hokudai.ac.j p URL: http://www.hokudai.ac.j p グルタミン酸輸送体 GLAST はグリアによるシナプスの覆いと 機能的なシナプス回路の発達 ・維持に必須 研究成果のポイン ト ・脳の発達に不可欠なシナプス回路の改築に，グルタミン酸輸送体 GLAST が有効であることを解明。 ・GLAST は，グルタミン酸除去による近隣シナプス間の機能的絶縁とシナプス被覆による構造的絶縁 の両面を促進。 ・この生理機能を介 して，近隣のシナプスやニューロンへの異所的伝達 （クロス トーク）を抑えるこ とにより，機能的なシナプス回路の発達と維持に関与。 研究成果の概要 グルタミン酸は脳における主要な興奮性神経伝達物質として，発達期におけるシナプス＊１回路改築 や，成体期における神経情報伝達と可塑性発現の基盤になります。この生理機能がグルタミン酸受容 体＊２の活性化を介 して起きていることは知られていましたが，グルタミン酸伝達の時空間的調節を制 御するグルタミン酸輸送体＊３の機能的役割はこれまで不明でした。 この度，医学研究院解剖発生学教室の宮崎助教が中心となって，小脳のバーグマングリア＊４に豊富 なグルタミン酸輸送体 GLAST に着目し，その遺伝子欠損マウスの表現型＊５解析を行いました。その結 果，GLAST が，プルキンエ細胞＊４における登上線維と平行線維＊６の支配テリトリーの分離化，優勢な 登上線維による単一支配の確立，グリア突起による樹状突起とシナプスの被覆化に必須であることを 突き止めました。同様の表現型は，成熟 した野生型マウス小脳へのグルタミン酸輸送体阻害剤の投与 により再現されたことから，機能的なシナプス回路の維持に不可欠であることもわか りました。 本研究成果は，2017 年 6 月 27 日（火）出版の米国科学アカデミー紀要 「Proceed ings of the Nat ional Academy of Sciences of the United States of America」でオンライン公開されました。 なお，本研究は，科学研究費補助金 （基盤研究 （S基盤研究 （C により行われました。 論文発表の概要 研究論文名 ：Glutamate transporter GLAST controls synaptic wrapping by Bergmann glia and ensures proper wiring of Purkinje cells （グルタミン酸輸送体 GLAST はバーグマングリアによるプルキンエ細胞 のシナプス被覆と適正なシナプス回路の発達 ・維持に必須である） 1 1 ２，３ ４，５ ４ ６ ７ 著者 ：宮崎太輔 ，山崎美和子 ，橋本浩一 ，幸田和久 ，柚崎通介 ，島本啓子 ，田中光一 ， ２ １ 狩野方伸 ，渡辺雅彦 1 ２ ３ 所属 ：北海道大学大学院医学研究院， 東京大学大