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太陽電池用シリコン切削屑の再資源化について 1 2 2 隠岐 貴史、倉本 英哲、柳沢 平 、木下 潔 、笹木 正嗣 太陽電池に用いるシリコンウェハを切り出す際に多量に発生する切削屑には、シリコンの みでなく水、切削材としての炭化珪素の微粒子等の混合物を含んでいる。これらを分離する ことは困難であり、現在その多くは廃棄処分されている。そこで、本研究は切削屑中のシリ コンと炭化珪素にアーク放電を利用した再資源化方法を検討したところ、切削屑より純度 98%以上のシリコンを再生することができた。 キーワード：シリコン、再生、切削屑、アーク炉、産学官共同研究 1. はじめに 手法により、切削屑中のシリコンと SiC から高純度シ リコンや合金生成物を抽出する再資源化技術を開発す 本研究は、経済産業省公募の「平成 22 年度中小企業 るものである。 等の研究開発力向上及び実用化推進のための支援事業 （新規産業創造技術開発費補助金）」に採択された研 究事業の一環である。本市域内の企業とともに広島市 2. 実験方法 工業技術センター・財団法人広島市産業振興センター が、「廃棄処理されている太陽電池用シリコン切削屑 2.1 再資源化方法 の再資源化技術の立証研究」をテーマに実施したもの 特殊なアーク炉を用いて、アーク放電とスラグ反応 である。 により乾燥後の切削屑を溶解、再生させた。図 1 に再 近年、低炭素社会の実現などの環境問題やエネルギ 生シリコンのインゴットを示す。なお、本手法に関し ー問題から太陽光発電の普及が急速に進んでいる。こ ては特許出願の都合上詳細については割愛する。この の太陽光発電に用いられている太陽電池には、主に高 ため、本報告は分析結果を中心に述べる。 純度のシリコン系材料が使用されている。シリコンを 特殊アーク炉に投入するシリコン切削屑に対するシ 太陽電池に使用するためには高純度シリコンのインゴ リコン回収率に影響する因子としては、投入するシリ ット（シリコンを精製してできた塊）からシリコンウ コン切削屑の組成とアーク処理炉の操作条件が挙げら ェハと呼ばれる薄板を切り出す必要があるが、その際 れる。 にインゴットの約60％は切削屑として排出されている。 この多量に生じる切削屑には、シリコンのみでなく、 水や切削砥粒材としての SiC （炭化珪素）などの微粒 子を多く含んでおり、切削屑の中からシリコンと炭化 珪素等の微粒子を分離することは難しく、さらにシリ コン表面は酸化されているため、高純度なシリコンの 回収は容易ではない。このことから現状ではその切削 屑の多くは廃棄処分されている。そこで、本研究は㈱ 木下製作所の保有技術である特殊なアーク炉を用いた 図 1 再生シリコンのインゴット 1 広島大学名誉教授 2 株式会社木下製作所 - 27 - 2.2 分析方法 (1) SEM (2) C 図 1 に示すような再生シリコンより分析・解析用試 料を粉砕、分級、研磨等により作成し、組織観察、元 素分析、状態分析及び構造解析を行った。 おおよその組成は