海外における殺菌消毒薬の効力評価法－欧州、米国の.PDFVIP

（10） The Journal of Healthcare-Associated Infection 2015; 8: 10-16. Vol.8 No.1 2015 ■Review article 海外における殺菌・消毒薬の効力評価法 －欧州、米国の試験規格の比較 植田 知文、梶浦 工、小林 寬伊 東京医療保健大学大学院 Standard Test Methods for Evaluation of Disinfectants in Europe and the United States of America Tomofumi Ueda, Takumi Kajiura, Hiroyoshi Kobayashi Division of Infection Prevention and Control, Tokyo Healthcare University Postgraduate School １．はじめに ２．海外の消毒薬評価試験法 概要 殺菌・消毒薬（以下、消毒薬）を用いる対象は生体（手 まず、それぞれの試験規格の概要について述べる。 指、手術野など）と非生体（器具、環境など）に大別さ れる。各用途における消毒薬の効果を評価するため、海 2.1 欧州の試験規格（EN 試験法）4～6) 外には各種の試験規格が存在しており、主要なものと EN 試験法は phase1、2、3 の 3 つのフェーズで構成さ して European Norm （EN ）欧州標準試験法と米国の れており、phase1 から段階を追って、その活性を検討し American Society for Testing and Materials （ASTM）試験法、 ていく。 Association of Official Analytical Chemists （AOAC）試験法 phase1 では、製剤または活性物質の基本的な活性が試 が挙げられる。 験管内での浮遊試験で検討される。主に製剤の開発段階 日本国内では、生体を対象とした消毒薬については環 で用いられ、活性の保証は目的としていない。 境感染学会の消毒薬評価委員会から評価指針が示され phase2 は、製剤が使用される領域により、「医療」、「食 1,2)、欧州または米国の試験法を用いることが推奨されて 品・産業・家庭および公共施設」、「畜産」の3 領域に分 いる。一方、非生体を対象とした消毒薬については未だ けられる。各領域には使用方法に対応した2 つのステッ 評価方法や指針は示されていないが、生体を対象とした プが存在し、実使用を想定した条件における活性が検討 ものと同様、欧州や米国の試験法が参考とされることが される。 想定される。実際、医療領域は対象とされていないが、 phase2/step1 は、実使用を想定した条件において効果を 日本薬局方第17 局の参考情報に収載予定の 「消毒法及び 示す製剤濃度の決定を目的としている。有機物を負荷し 除染法」3) はEN 試験法を参考としている。