第1章现代社会と健康-daiichi.doc

第１章　現代社会と健康 第２節　健康の増進と疾病の予防（教科書p.30～31） ９．エイズとその予防 １　次の文章の[　　　　]内に適切な語句を入れなさい。 　エイズ（ＡＩＤＳ，[①　後天性免疫不全　]症候群）は，ＨＩＶ（ヒト免疫不全ウイルス）を病原体とする感染症（ＨＩＶ感染症）で，[②　無症候　]状態ののちに症状が現れたものをいう。ＨＩＶは体内にはいると，あらゆる病原体からからだを守る[③　免疫機能　]の司令官の役割を果たす[④　リンパ球　]を直接破壊し，免疫力を低下させる。ＨＩＶ感染症が進んで免疫力が極端に低下し，[⑤　指標となる病気　]が確認されると，エイズになったとされる。 ■学習のポイント ＡＩＤＳとＨＩＶ，ＨＩＶ感染症の違いについて理解を深めることが大切である。 ２　下の図をみて答えなさい。 わが国のＨＩＶの感染経路 問１　わが国のＨＩＶの感染経路の分布から，ＨＩＶ感染症は何の１つとみなされているだろうか。 　[　　　性感染症　　　　] 問２　ＨＩＶに感染しているかどうかを判断する検査を何というだろうか。 　[　　ＨＩＶ抗体検査　　] ●アドバイス グラフから読みとれる主な感染経路に共通していることは何かを考える。 ３　まとめの問題 問１　体内でのＨＩＶの増殖をさまたげることで病気の進行をおさえる薬を何というだろうか　[　　　抗ＨＩＶ薬　　　] 問２　次の文章のうち正しいものに○をつけなさい。 ①（　○　）健常者では感染を起こさないような弱い病原体による感染症を日和見感染症という。 ②（　　　）エイズの指標となる病気には30種類ある。 ③（　○　）ＨＩＶ感染者には障害者手帳が支給されている。 ④（　　　）現在普及しているＨＩＶ治療薬は，毎日服用しなくてもよいものが多い。 ⑤（　　　）ピルでも性感染症を予防できる。 ■学習のポイント ＨＩＶに感染した場合にはどのような治療が必要になるかについても理解する。 関連資料 わが国の年齢階級別ＨＩＶ感染者数の推移（厚生労働省資料，2004年） 資料の解説 20代，30代の若年層での感染者が多く，この傾向は今後さらに加速するのではないかと危惧されている。ＨＩＶは防ぐことが十分可能な感染症である。正しい知識をもって他の性感染症同様に予防できるようにしたい。 ～解説～ １．「エイズに感染する」という表現は間違いであり，「ＨＩＶに感染して指標となる病気が発生した状態がエイズ」というように，ＨＩＶとエイズの違いを正しく理解できるようにしたい。また，ＨＩＶには感染しているが，発症していない状況はおよそ５～10年程度といわれる。1995年以降，10代の性感染症や人工妊娠中絶の件数が急増しているが，この年代ではコンドームの使用率が低いといわれている。ＨＩＶ感染症も性感染症の1つであり，このままでは今後もＨＩＶ感染者が増えつづけるという事態も考えられる。 ２．問１…図をみてわかるように，わが国でのＨＩＶ感染経路はおよそ８割が性的接触によるものであり，薬害としての新規のＨＩＶ感染がほぼなくなった現在においては，ＨＩＶ感染症は性感染症の１つとして数えられるものとなっている。性感染症の予防の際に有効となるのはコンドームやペッサリーなど性器が直接接触しないような避妊具であり，ピルは避妊効果は高いものの，性感染症は予防できない。 問２…ＨＩＶに感染しているかどうかを判定する検査のことをＨＩＶ抗体検査という。これまで検査から結果の判明までにおよそ１週間を要する検査であったが，近年では，検査を受けたその日に結果がわかる「ＨＩＶ抗体即日検査」が普及している（「ＨＩＶ抗体即日検査」については，即日検査で陽性反応出た場合，あらためて通常の検査を行ったうえで確定判断が行われる）。 ３．問１…体内でＨＩＶの増殖を妨げる薬のことを「抗ＨＩＶ薬」という。現在では，効果的な抗ＨＩＶ薬が開発されており，かなりの程度ＨＩＶを抑えることができるようになっている。このため，ＨＩＶを完全に撲滅させることはできていないものの，患者の予後は以前と比べると格段に向上している。 問２…教科書をよく読めば容易に解答することができる。誤りの部分については以下のとおりである。②エイズの指標となる病気は23種類である。④現在普及しているＨＩＶの治療薬（抗ＨＩＶ薬）は，毎日欠かさず飲みつづけなければならない。⑤ＨＩＶは精液や膣分泌腋，血液などに含まれている。ＨＩＶは傷口やからだの粘膜などを通して感染する。したがって，性器が直接触れるような避妊法には性感染症の予防効果はない。 ■関連資料について 現在，先進国では，ＨＩＶ予防キャンペーンや性教育の徹底などの効果もありＨＩＶ感染者は減少傾向にあるといわれている