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調査研究ノート 情報・バラエティー番組の演出要素 定量分析の試み ～プライムタイム番組の分析調査から～ 　　　　メディア研究部 古閑忠通 番組の演出は，漠然とイメージとして語られることはあっても，具体的に数値の形で示されたり，可視化された図 式の形で表されることはとても少ない。そこで今回，ゴールデン・プライムタイム帯に大きな割合を占める情報番組・ バラエティー番組を対象に，あえて番組の表面上に現れた客観的に「数値化できる」「演出要素」だけを拾い上げ， 「定量的」な分析をすることを試みた。あわせてテキストマイニングやネットワーク分析などの新たな手法によってスタ ジオの出演者の関係性を明らかにすることを試みた。その結果，面白さを表現するための演出傾向がいくつか数字 の形で見えてきたほか，スタジオの出演者による会話のやり取りや，「仲間の輪」をつくる「親しみの演出」を，可視 化することができた。一方では，サンプル番組の選び方に課題が残ったほか，個別の番組の演出手法の評価にま では踏み込めないという，今回の定量分析の限界もまた浮かび上がってきた。 とはあまりない。 はじめに しかし，各局が視聴率でしのぎを削るゴール 情報番組・バラエティー番組はテーマや内 デン・プライムタイムにおいて，かつてほどの 容・演出が実に多様で，ニュースなどの構造が 高視聴率番組こそなくなったものの，特に民放 似た番組と比べると番組同士の「比較」が難し の番組の中で圧倒的な放送時間を占めるのが い。さらに，情報・バラエティー番組で用いら 「情報・バラエティー番組」である。民放各局 れるような演出は，「科学」「歴史」「紀行」「音楽」 が力の粋を集めて競い合う「情報・バラエティー 「ドキュメンタリー」…といった番組ジャンルを 番組」の演出の特徴を探れば，NHKの番組に 乗り越えて浸透し，近年ますますその傾向は強 も活用できるヒントが得られるのではないかと まっている。情報・バラエティー番組を分類す 考えた。そこで今回，あえて主戦場であるこの ることはもちろん，そもそもその番組は情報・ 時間帯に絞り，情報・バラエティー番組をター バラエティー番組なのか，といったことですら ゲットに分析・調査を行うことにした。 定義することが難しくなってきている。そのた 調査にあたっては，上記のような問題意識か め，情報・バラエティー番組の演出傾向につい ら，情報・バラエティー番組の定義を可能な限 て，漠然としたイメージでは語られることはあっ り広く取り，できるだけ幅広い番組を対象とす ることとした1） ても，明確な数字のデータとして分析されたこ 。その上で，演出そのものでは 68 　MAY 2013 なく，できるだけスタジオやVTR，テロップな にまで踏み込んだものとなっている。対象とし ど番組の表面に現れた，「数値化」できる「演 た149本の番組のコーディングにあたっては， 出要素」を共通の「モノサシ」として「定量分 NHK放送文化研究所の3人の研究員にそれぞ 析」を行い，その特徴を探ることにした。 れ男女1人ずつのコーダーがつき，専門性と客 この調査・分析は番組を改善するための 観性の確