日本国内制度事例.pdfVIP

３．国内の制度事例 ３－１ 調査対象分野及び技術 国内においては、各地方公共団体で様々なヒートアイランド対策が進められているが、 それらが体系立てて把握できていない状況である。そこで本調査では、表3-19 に示すよう に、ヒートアイランド対策の視点から見た、対策分野、対策技術、またその関連制度で分 類し、整理した。 制度化されている対策分野として、緑化制度、クールルーフ（高反射率塗装）制度、都 市化・開発に関する制度（建物の環境性能や環境配慮の取組みを評価する建築物評価制度） に分類した。その上で、それぞれの対策技術の制度を整理した。 この他にも、制度化には至っていないが、ヒートアイランド対策を推進するための様々 な取組みが行われていた。以下では、制度の種類ごとにその概要を整理する。個別の制度 の詳細については、巻末の参考資料8～14 にとりまとめた。 表3－19 国内ヒートアイランド対策の分類 対策分野 対策技術 政策手段 制度 緑化制度 建物緑化 屋上緑化 助成、容積率割増、義務付け 壁面緑化 敷地緑化 敷地緑化 助成、義務付け 生垣造成 助成 駐車場整備 助成 校庭緑化 助成 グリーンチェーン戦略 評価制度 市民農園 クールルーフ 高反射率塗装 助成 都市化・開発 建築物評価制度 地球温暖化対策地方公共団体実行計画 計画策定の義務付け その他の事業 環境舗装 保水性舗装 遮熱性舗装 風の道 水の利用 ドライミスト 助成 熱中症対策 情報提供による予防対策 61 ３－２ 緑化制度 緑化制度は、ヒートアイランド対策の中でも、様々な施策があるが、ここでは、その対 策技術（方法）によって、6 つの観点で分類を行う。 ① 建物緑化 ② 敷地緑化 ③ 駐車場整備 ④ 校庭緑化 ⑤ グリーンチェーン戦略 ⑥ 市民農園 以下では、これらの６つの対策技術（方法）の制度概要を整理する。緑化制度について の個別の制度の詳細は、参考資料８．国内緑化制度に整理する。 ① 建物緑化 建物緑化には、屋上緑化、壁面緑化があるが、これらを推進する主な政策手段は、経済 的手法であり、その中でも、多くの自治体が屋上緑化に対する助成制度を設けている（参 考資料 9．屋上緑化助成実施自治体一覧および参考資料 10．壁面緑化助成実施自治体一覧 参照）。助成額は自治体によって様々であり、表3 ‐20 に示すとおり（参考資料9 の一覧表 より㎡あたりの助成金額や限度額に違いのある自治体をピックアップしたもの）、その助成 金額は、1 万～5 万円／㎡で、多くの自治体が2 万円／㎡を採用しており（熊本市は10 万 円／㎡）、限度額は30 万～100 万円である。その違いの理由は明確ではないが、助成規模 が広い面積を想定している自治体では（50 ㎡、100 ㎡、300 ㎡以上など）、限度額が高くな ったり、対象区域が狭い場合や想定している助成件数が尐ない場合（2 件など）は1 件あた りの助成額は大きくなる。また、様々な方法で（屋上緑化、壁面緑化、生垣など）緑被率 を増加させることを目指している自治体では、屋上緑化のみの助成額を見ると小さいが、 他の方法の助成と併用が可能という場