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保健体育科 自ら活動する喜びを味わうことのできる 保健体育学習（Ⅷ） ～体育科における発展的・補充的な学習とは～ 附属函館中学校 池田 靖秋・佐藤 昌子 Ⅰ はじめに 目標に準拠した評価（いわゆる絶対評価）がよりいっそう重視されることになって２年目を迎えた。昨年 度は、客観性と妥当性、信頼性を持った評価規準作りを目指し、それを生徒と保護者に明示して説明責任を 果たした。確かに評価規準を教師側だけが押さえているのではなく、資料として配布したことは生徒に好評 であった。また、明文化するために評価規準自体を厳密に吟味したことには大きな意味があった。 しかし、指導の中には多様なねらいがあり、それと現実の生徒の姿がどの程度まで実現できているのかと いう考え方が教育の大原則である。評価規準を厳密にしようとすればするほど、厳密にできないあるいはし づらい部分を削除することによる、生徒の意欲の減退や自信の喪失につながることに大きなジレンマを感じ ていた。今年度はこれらの部分の解消も目指して実践を重ねてきたつもりである。 Ⅱ 研究の概要 生徒が自分で学習のめあてを設定し、その課題解決のため、教師の指導の下に単元の計画をしていく。こ れを仮にめあて学習と呼ぶなら、生徒はひとつの課題を達成したならば、次はさらに高次の課題を自ら設定 して意欲的に活動するはずであるという仮定の下にこの学習形態は成り立っている。 しかし、現実には最初に設定した課題を達成した時点で次の課題設定を行えない生徒や、最初から課題達 成に向けての努力が足りない生徒が見受けられる。これらの生徒たちに具体的に課題解決のためのアドバイ スを示すことを目指しているのがステップアップカード（以下ＳＵカード）である。昨年度までのＧＢカー ド（頑張ろうカードの略）に具体的な補充的なアドバイスを付け加えたものである。 さらに、ＳＵカードには、学習指導要領の内容を十分達成できている生徒について、より発展的に取り組 める内容へのアドバイスも盛り込んだ。また、学年が進むに従って可能な限り選択種目数を増やし、学習内 容の達成状況が上位の生徒への意欲に応えられるように年間指導計画を工夫した。 つまり、選択種目数を増やし、単元の後半には、発展的・補充的なコース学習を設定するということが一 人もしくは多くても二人の教師で現実的に実践可能なのかどうかということを探ってみた。 Ⅲ 研究の内容と方法 1. 保健体育科における『確かな学力』とは （１）何を発展させ、何を補充するのか 今年度の研究副主題「発展的・補充な学習はいかにあるべきか」にそった教科研究を考えた時に、最初に 思い悩んだことは、「何を発展・補充させるのか」ということである。この答えは、メインテーマである「確 かな学力」であろうし、保健体育科における基礎・基本であろう。もちろん、学習指導要領に記載されてい る保健体育科の観点別の目標であり、それはＳＵカードにも明示して生徒に配布している。これらを足りな ければ補充し、満たしていれば発展させていくことになるのであろうが、文章から受ける表現的には、自分 の課題に向かって黙々と個人的に活動していく学習形態というイメージが濃いような印象を受ける。 （２）教師として何を指導するのか 実際の活動場面において、個人で目標に取り組んでいくだけの学習内容というものはありえない。めあて 学習としては、生徒に学習カードへ個人課題を書かせたりするが、このめあては、あくまでも教師が作成し たＳＵカードを参考にして設定させているものである。そのＳＵカードの中には、仲間とのかかわり、器具 などのモノとのかかわり、運動種目それ自体へのかかわりが明示されているのである。 したがって、教師が「確かな学力」をどう捉えているかということが直接的に生徒の単元計画へ影響を与 えるのである。そこで、本科が考える「確かな学力」を三つの要素に分けて説明する。 2. 保健体育科の『確かな学力の三要素』 （１）学ぼうとする力 学ぼうとする力とは、今できないことをできるように取り組もうとする姿勢のことである。技能的な事柄 に限らず、声を出すこと、行動が機敏なこと、授業への準備性や提出物の内容が良いこと、仲間と協力して より楽しい活動にしようとする意欲などのことである。これらは、 ① 運動に関心を示す「受け入