柏木英彦着-中世哲学会.PDFVIP

188 柏木英彦著:中 世 の 春 一一 十二世紀Jレ ネ サ ン ス 一一 1976. 削文社pp. 200 Y1，200 今 道 友 信 思潮の渦巻き 中位思U1tの研究と日へは， 久しく十三世紀と卜四位紀とがLjl 心であって， 乙れら に匹敵するのは， むしろ早い時期， 四世紀五世紀の教父時代の盛期であった。 殊に 哲学や神学が主足立になるときは， 教父時代のアウグスティ ーヌスと十三世紀のトマ ス ・アクイナスに大方の注意が向けられてしまふといふ傾向は， 洋の東西を問はず 目立つ現粂であった。 それには然るべき理由がありはするが， ともかくこれら二人 の巨匠は， 放はれ， r[J世全体はそれら両極の中に収められてしまふ日?態的な均衡の千年である かのやうに凡あやまられてしまふほどなのである。 それは多分個別研究の深さが強 要した論理の棋の重さが歴史的!足立lを見失はせたからでもあらう。 中世が決して� t1の時代ではなかったととは， それゆゑ歴史家の方から切らかにせられて来る。 テ カルト レネサン スを提言したのもその を史的に湖源して行ったヂ〉レソンが十二世紀ノ -iYlJであったし， 近くは我が困でも堀米応三が「革新の十二陸紀」といふ副泌をも っ『西欧精神の探求』といふ書物を編纂したことは記憶に新たである。 哲 学史の面 でも， 最近の顕著な研究情況とし て， 十二世紀に関する文献が多くなって来てゐる のを見逃すわけにはゆかない。 それは思潮の渦巻く世紀であって， アラビアlζfHざ したイスラーム文化， ギリシア古典哲学， ユダヤ恩怨， 人文主義， 科学の試みなど が一時に競ひ出し， アベラール， ユゴ， アランなどといふ注目すべき人物の活躍し 時 u niv ersitas) が制度として整へられて来たのも， ζの世紀の た 代であった。 大学( 探求 心が秀れた講義に殺到するといふ自主的な学習態度を前提とする。 最近筆者の自に触れただけでも， 十二世紀に関しては， M.D. Che nu ， J. Jolive t， R. Jave!e t， J. Pinb org， R. Thomas， S. O t to， J. Kritz ek M. Watt らは， 従来と もす c ， 者 189 れば比佐とさ れてゐたこの時代について， それぞれの制点と方法から新しい研究成 果をもたらしてゐて， V. Cou sin や de Bru yne Liebe schütz らが例外的に示して ， 7こに過ぎなかった1950年代ま でには忠ひもつかなかったやうな清新な中世像を刻み 上げてゐる。 柏木!J�，3のnこ!おる木占もそれら秀れた最近の研究者たちの列にIIよみ