非塩素系加工油.PDFVIP

2003M4.4.6 Ｍ４．４．６　塩素を含有しない金属加工油（非塩素系加工油）の研究開発 非塩素系加工油グループ　研究従事者名 ○齋藤敏夫、後藤雅久、矢部隆雄、金子正人、菅井幸夫 奥田亮一、慈道陽一郎、三原哲昭、木村琢磨 １．研究開発の目的 環境問題の一つとしてダイオキシン問題がある。そのダイオキシン発生の原因の一つと して、金属加工に多量に使用されている塩素系加工油がある。最も多く用いられている切 削加工油の場合，全国工作油剤工業組合の統計を見ると、平成 11 年度の不水溶性切削油 の生産高は 72.7 千ＫＬ／年あり、この中に占める塩素系切削油の量は 72.6％と報告され ている。 油剤メーカー各社は数年前からこの問題に取り組み、塩素を含有しない切削油（非塩素 系切削油）の開発に取り組み，市場にも投入して積極的に販売活動やＰＲ活動を行ってい るが、実質的な非塩素化率はまだ40％前後と推定されているのが現状である。 平成１２年度の調査研究で塩素系加工油を撤廃できない原因について、アンケート調査 を行った結果、次のような事がわかった。 ( ⅰ) 非塩素系加工油剤は性能が不足する。（40.6％） ( ⅱ) 非塩素系加工油剤は価格が高い。（27.5％） ( ⅲ) 非塩素化を検討する時間がない。（7.2％） ( ⅳ) 法規制がない。（7.2％） この中で性能不足・価格が高いが68.1％を占め、技術開発の必要性を物語っている。 これらの問題を解決するために、研究の最終目標は下記の通りとした。 ( ⅰ)非塩素化ができていない加工方法について、技術的問題点を明確にし、塩素系加工 油と同等以上の非塩素系加工油を開発する。 ( ⅱ) 現状の非塩素系加工油の適応範囲を明確にすることによって、適油選定の指針を示 し，非塩素化促進に資する。 研究対象とした金属加工法は、平成１２年度の調査研究の中で、非塩素化が遅れている 加工法として回答の多かったものから次に挙げる金属加工を選択した。 ( ⅰ)切削加工 ：旋削、ドリル、リーマ、タップ、ブローチ、深穴加工（ガンドリル）。 ( ⅱ) プレス加工：深絞り、引抜き、打抜き（ファインブランキング）、冷間鍛造。 なお，切削加工における歯切り加工の分野では，早くからモリブデン系，硫黄系を中心 として非塩素化の技術が確立し，広く使用されているため研究対象から外した． ２．研究開発の内容 ２.1 加工性に関する詳細確認と評価条件の探索研究 この研究の最も重要な項目の中の一つに、加工性の評価がある。研究対象として挙げた 加工法毎に、どのような方法及び条件で加工性を評価すれば良いかを決める必要がある。 このために、文献調査を実施し、加工性評価の参考とした。 ２. ２現行非塩素系加工油の市場調査研究 現在市場に出回っている非塩素系金属加工油がどのようなものかを把握するため、市販 油の調査を行った。メーカーカタログに示されている適応加工法を参考に、代表的な市販 油の性状・内容分析・潤滑特性・加工性を評価し、加工法毎に現在どのような油剤がある のか、また従来の塩素系とどのような違いがあるのかを調査した。 （１） 調査対象とした市販油の範囲 ① 不水溶性切削油 研究対象とした加工法に用いられている市販の非塩素系油剤と塩素系油剤の性能を比較 するために、不水溶性切削油の主要メーカー６社のカタログに記載されている油剤を選択 した。収集製品数は塩素系４４油種、非塩素系１０５油種の合計１４９油種となった。 ② プレス加工油