汉方频用处方解说六君子汤并木隆雄.PDFVIP

2012 年 7 月 11 日放送 漢方頻用処方解説 六君子湯② 千葉大学大学院 医学研究院 和漢診療学講座 並木 隆雄 １ 現代における用い方 現代における用い方を紹介します。実際臨床の基本的な適応を、もう少し詳しく述べた いと思います。六君子湯は漢方でいう虚証の人に用います。なかでも胃腸が弱い体質のも ので、食欲がなく、みぞおちが痞える、胸やけする、吐気があるなどの消化器症状に用い ます。病名でいうと胃炎です。その中で、最近では病理組織学的な観点とは異なる分類と して、機能性胃腸症という病名が用いられることがあります。胃酸過多などの症状を強力 にとるプロトンポンプ阻害剤が無効の胃炎です。六君子湯は機能性胃腸症の中の運動不全 型には有効な場合が多いと言われています。 また、胃の排出能を改善することから、器質的異常のない非びらん性胃食道逆流症 （Non-erosive Reflux Disease ：NERD）や、プロトンポンプ阻害剤抵抗性の胃食道逆流 （Gastroesophageal Reflux Disease ：GERD）にも有効であるとの報告もあります。 さらに、胃食道逆流の延長上にある咽喉頭への胃酸の逆流により生じる咽喉頭酸逆流症 にも有効な場合があります。すなわち、一部の咽喉頭異常感、声のかすれ（嗄声）、のどの 痛み、慢性咳嗽に有効な場合があります。 ２ 薬理作用・必威体育精装版の発表 1990 年頃より、六君子湯の多施設臨床研究で「上腹部愁訴を有する胃炎」「急性および慢 性胃炎の急性増悪期の胃炎」に対する治療薬としての効果の検討が開始されています。こ れらの研究からは、食欲不振の改善のほか、易疲労感の改善が対照に比べ有意であること が示され、六君子湯の有用性が証明されました。 1998 年に、機能性胃腸症（Functional dyspepsia ：FD）運動不全型の上腹部愁訴に対 する六君子湯の効果が二重盲検法で確認されました。 六君子湯の作用機序として、以前は胃の運動機能および胃の貯留能あるいは胃粘液分泌、 胃粘膜の血流の観点からの検討が行われました。慢性胃炎や機能性胃腸症にみられる食物 の停滞感は胃の適応性弛緩の障害と考えられ、また食事早期の飽満感あるいは食後後期の 膨満感は胃排出能の低下が挙げられます。六君子湯は両者とも改善作用を有することが報 告されています。胃の適応性弛緩は一酸化窒素（NO）の関与が言われていますが、六君子 湯は NO を増加させると言われています。 最近の研究で注目を集めているのは、消化管ホルモンのグレリンと六君子湯との関連で す。グレリンは 1999 年に日本人により単離されたペプチドです。主に胃から分泌される局 所ホルモンで、中枢に働きかけ成長ホルモンの分泌促進、食欲亢進、消化管運動および胃 酸分泌などに作用することが知られています。 空腹になると胃からグレリンが分泌され、摂食を促します。この作用は迷走神経を介し ています。基礎的検討からは六君子湯がこのグレリンの分泌やグレリンシグナル伝達の増 強を介したメカニズムがあることが明らかとなりつつあります。六君子湯は末梢のセロト ニン受容体である5-HT2B 受容体や中枢のセロトニン受容体である 5-HT2C 受容体にそれぞ れ拮抗作用示します。抗がん剤および抗うつ剤である SSRI の食欲低下を抑制することが示 されています。 たとえば、抗がん剤のシスプラチンを用いた動物実験モデルでは、六君子湯が食欲不振 の改善をすることが示されています。シスプラチンはセロトニンを遊離させその受容体を 介して食欲を低下させると考えられているが、六君子湯はセロトニンの 5-HT2B および 5-HT2C 受容体拮抗作用を介して食欲低下を抑制することが示されています。 さらに抗ストレス作用と六君子湯について説明します。 これも基礎実験ですが、隔離ストレス下の加齢マウスを用いた実験を紹介します。この 実験系では、若年マウスではストレス下での食餌摂取量の低下は軽度であったのに対し、 加齢マウスでは明らかに低下していました。 加齢マウスへの六君子湯の投与により、食餌摂取量低下の改