2001年放射线科卒业试験复元.DOC

2001年度放射線科卒業試験 昨年度の問題は回収されてしまいましたので、記憶を頼りに再現した問題を基にして作成しています。そのため、欠如している選択肢がありますし、問題自体に誤りがある可能性もあります。 1.超音波について誤っているのは?（１つ） ａ．Aモード??眼球 ｂ．Bモード??心臓 ｃ．Mモード??腹部 ｄ．超音波内視鏡??胆膵部 ｅ．ドップラー??血管 解答　ｃ 解説：超音波断層法の種類は次のようになっている。 ①Aモード(amplitude modeの略)＝モニタの縦軸にエコーの強さを高さ(amplitude)で表示し、横軸にこのエコーが生じる境界面までの距離を表示する方法。現在でも、主に眼科領域で使われている。 ②Bモード(brightness modeの略)＝消化器内科で肝臓を見たり、循環器内科で心臓を見たりするのに使われている、いわゆる普通のエコー。 ③Mモード(motion modeの略)＝モニタの横軸に時間をとり、Bモードの画面のある部分の動きを経時的に表示する。主に、心臓の超音波検査で心室や弁膜の動きを見るのに用いられている。 2.立位単純X線が正しいかをどう判断するか?(3つ) ａ．腹背方向に撮影されている ｂ．胃泡内に鏡面像が見える ｃ．肩甲骨が正しく肺野からはずれている ｄ．左右の鎖骨内側縁の正中に棘突起がある ｅ．第8肋骨の後方に横隔膜が写っている 解答　ｂ，ｃ，ｄ 解説：胸部単純Ｘ線像の撮影体位が立位であるか臥位であるかの判定基準は ①胃泡ガスに鏡面形成（ニボー）が見られれば、確実に立位である。 ②肩甲骨が左右の肺野に大きく重なっている場合は臥位である。立位の場合は、肩甲骨が肺野からずれて写る。 ③横隔膜が高位で心陰影もやや大きくなっていたら臥位である。立位の場合は、吸気時では横隔膜は第10肋骨以下にある。 ④臥位撮影の場合、低圧撮影になるので骨構造が目立つ写真になる。 また、立位か臥位かということとは関係はないが、ちゃんと真正面から撮影できているかどうかを見るためには鎖骨内側縁の正中に棘突起があることを確認すればよい。 3.リングエンハンスメントを示す脳内病変は?(3つ) ａ．脳膿瘍 ｂ．髄漠腫 ｃ．転移脳腫瘍 ｄ．膠芽腫 解答　ａ，ｃ，ｄ 解説：リング?エンハンスメントを示す脳内病変は3つある。グリオブラストーマ（膠芽腫）と転移性脳腫瘍と脳膿瘍である。この3つのうちどれであるかを鑑別するには、まず形を見る。グリオブラストーマは転んだ自転車の車輪のような凸凹の形をしているが、転移性脳腫瘍と脳膿瘍は円形である。転移性脳腫瘍と脳膿瘍では、転移性脳腫瘍の方が周囲を圧迫して成長する分だけ周囲の浮腫が強いことが多い。 4.消化管穿孔が疑われる、立位撮影が困難な患者に用いられる撮影は?(1つ) ａ．左下側臥位 ｂ．右下側臥立 ｃ．Trendenburg体位 ｄ．半立位 ｅ．仰臥位 解答　ａ 解説：要するにfree airを見たいわけである。立位で撮影すれば、肝臓と横隔膜の間にfree airが見える。立位が困難な場合は、左側臥位で撮影すれば肝臓の側縁と腹壁の間にfree airが見える。おそらく、大腸ガスや胃泡と重なってわかりにくいので、右側臥位はよくないのだと思う。 5．膵腫瘍のうち、造影により富血(hypervascular)を示すものは?(1つ) ａ．漿液性嚢胞腺腫 ｂ．粘液性嚢胞腺腫 ｃ．膵癌 ｄ．膵炎 ｅ．偽嚢胞 解答 ａ 解説：＜膵の血管造影について＞ 膵癌（＝膵管癌）＝膵管上皮細胞から生じる。血管が屈曲蛇行していたり、途絶していたり、狭窄していたりする。鋸歯状不整像と呼ばれる。無血管野になっていることもある。 膵炎＝血管がやはり屈曲蛇行してるが、狭窄は穏やかで、鋸のようにトゲトゲしておらず数珠状になっている。 膵島腫瘍＝膵の内分泌細胞から生じる。膵管癌とは対照的に著しく血管が多く、血管造影で濃染する。 膵嚢胞は仮性膵嚢胞、真性膵嚢胞、腫瘍性膵嚢胞に分類される。 仮性膵嚢胞＝膵液が膵内で漏れ出て生じる。よって内部に血管は無い。 真性膵嚢胞＝膵管の一部が嚢状に膨らんだもの。よってこれも内部に血管は無い。 腫瘍性膵嚢胞＝膵の外分泌細胞から生じる。漿液性嚢胞腺腫と粘液性嚢胞腺腫にわけられる。粘液性嚢胞腺腫は膵癌ほどではないものの悪性度が高く、やはり膵癌同様に血管に乏しい。漿液性嚢胞腺腫は、微小な嚢胞とその間に血管に富んだ隔壁構造が特徴で、大きさはせいぜい2cmぐらいにしかならない良性なもの。 6.脂肪肝のエコーとCTの所見は?(1つ) ａ．高エコー?低吸収 ｂ．高エコー?等吸収 ｃ．高エコー?高吸収 ｄ．高エコー?低吸収 ｅ．低エコー?高吸収 解答 ａ 解説：肝臓に脂肪が溜まると、X線透過性が高く