细胞调整室 - 国立国际医疗研究センター.pdf

課題番号 ：23 指 201 研究課題名 ：細胞調整室（CPC）を用いた新規療法に関する研究 主任研究者名 ：萩原將太郎 分担研究者名 ：萩原將太郎、大河内仁志、石坂幸人、辻谷俊一、杉山温人 キーワード ：再生医療、CPC、樹状細胞、血管新生、腫瘍免疫 ＜背景＞ 本格的な高齢化社会を目前に控え、動脈硬化による血行障害、膵内分泌異常、悪性腫瘍および癌 治療に伴う合併症等の罹患者数の著明な増加が予測されている。これらに対する有効かつ医療経 済性に優れた治療法として細胞治療が期待されている。 ＜目的＞ Cell processing center を用いた医療技術の開発を行うことを目的とする。本研究では、ヒトの 幹細胞を用いた再生医療、自己または同種細胞を用いた移植医療、細胞免疫療法等についての基 礎技術開発を行う。 Ⅰ．細胞調製室（CPC）を用いた新規療法の開発 １）CPC の運用体制を構築し、品質管理標準手順、衛生管理、バリデーション等についてマ ニュアルを作成した。 ２）再生医療、免疫療法、移植療法の基盤技術となる安全な細胞培養法の確立を目指し、動物 血清を用いない自己血小板濃厚血漿による細胞培養法を確立し、骨髄由来間葉系幹細胞の選択的 増幅法を確立した。 Ⅱ．骨髄由来間葉系細胞による血管新生作用の基礎的検討 末梢性動脈疾患に対して自己骨髄由来の単核細胞を濃縮して筋注する治療法があるが、400ml 以上という大量の骨髄液を採取しなければならない。そこで少量の骨髄（１０ml 程度）を採取 し、細胞調製室で間葉系幹細胞を培養して、細胞数を確保した後に投与するという新しい治療法 を開発することを目指す。そのために以下の実験を行った。 １）動物由来の血清の代替として自己多血小板血漿をもちいた骨髄培養法の確立と間葉系幹細 胞の増幅培養法の確立 ２）マウスの下肢虚血モデルの作製 ３）マウスにおける骨髄由来の間葉系幹細胞の培養と移植実験 ４）ビーグル犬をもちいた間葉系幹細胞移植の安全性の検証 以上の結果より、マウスの下肢虚血モデルにおいて培養した骨髄間葉系幹細胞を移植すると筋肉 内に血管新生を促進し、一部の細胞は血管内皮細胞になっていることが示唆された。 次にビーグル犬の下肢虚血モデルを作成し、ビーグル犬の多血小板血漿で培養した骨髄由来の間 葉系幹細胞を投与して安全性と効果を検討した。 まず古河市の動物実験施設ハムリー（株）において 10-14 月齢のビーグル犬の左側外腸骨動 脈と正中仙骨動脈を結紮、切断して下肢虚血モデルを作製した。次にイヌ骨髄由来間葉系細胞の 培養を行った。１匹の犬から動物愛護上の理由で大量に採血できないので、複数のビーグル犬か ら各50ml ずつ採血をして、多血小板血漿（PRP）を調整し、プール血漿とした。ビーグル犬よ り腸骨穿刺により骨髄液を3-5ml 採取した（n=5）。骨髄液から単核球分画を Ficoll 法により分 離して、α-MEM 培地に PRP を 10%添加して２週間程度培養して間葉系細胞を増殖させた。 培養でよく増殖の見られた個体の骨髄由来の間葉系細胞を 1×106／100μL となるように調 整して、蛍光色素の DiI で細胞を標識した後、作製したモデル犬の大腿四頭筋に 100μL ずつ 6 カ所(合計 6 ×106 個) と9 カ所(合計 9 ×106 個) に分けて筋注した(n=2)。対照群は PBS を筋注し た（n=1）。移植後２週間と６週間で大腿四頭筋と腓腹筋を採取し、ホルマリン固定後に パラ フィン包埋し、組織学的に検討するために各種染色を行った。 移植後２週間と６週間の大腿四頭筋にはいずれも DiI 陽性の移植した細胞が認められた。血管 新生については、明らかに血管が増えている所見は得られておらず、それぞれ１匹ずつの検討に なったため、効果についての有意差検定はできなかった。少なくともビーグル犬におけるシミュ レーションの結果は、細胞移植による合併症は認められず、移植手技は安全に行えることを証明 できたと考えている。 今後、ヒト患者への臨床応用を目指して研究を継続する。 本研究は、当センター倫理委員会の承認を得た後、ヒト幹細胞を用いた臨床研究に関わる倫理審 査へ申請中である。 Ⅲ．樹状細胞への蛋白導入方法の開発 腫瘍細胞に由来する蛋白質を用いた lysate-DC 療法の際に効率的な蛋白質導入システムの開発 が必要である。培養液中に添加す