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松塾資料④経脈 脈はの端なきが如く流る 　　　　　　　　　　　　　　　　　　 2012.12.1（2013.3.9改訂） 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　於?神田、都師会 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　松田　博公 〔網の目の経絡システム 【１】「経絡（経脈）は、からだをめぐる気血の回路であり、正経脈がある」といわれるが、以外に気血は流れていないのか。「経脈」「経絡」の意味には、歴史的推移と混乱がある『内経』では経絡とは、経脈＋絡脈の総称。時代が下ると経脈経絡区別なくなる。現代中医学では、経脈、絡脈、経別、経筋、皮部などの総体を「経絡システム」と呼ぶ。 ? 経脈＝経脈＋奇経脈 ? 絡脈＝別絡、孫絡、浮絡 ? 経別、経筋、皮部 ? 奇経脈（任脈、督脈、衝脈、帯脈、陰維脈、陽維脈、陰蹻脈、陽蹻脈）「経絡現象」と言われているものも、ほとんど「経脈現象」を指している。「経絡が一本線で、途中で上がったり下がったり、行ったり来たりする滑寿の経絡学説は、疑問。実際は一本線ではなく、ある一点（基点から）から放射状に２本、３本散っていくように思える。胆経の頭の流れ、腎経の足の内側のくねくねした流れ胃経の足三里から解谿に結ぶ線豊隆が外側にスライド、足三里を基点に２本放射状に流れる」（小林健二） 「身体を栄養する経絡と、治療に際して働く経絡は異なっている。治療に際しては、必要なところに響く」（横田観風） 「経絡敏感人にお願いして実験をした。経絡図式通りに感覚を感じることもあるが、その場合でも、手足末端で他経に接続し、方向が変わって循環するということはない。螺旋状に感覚が出ることもある」（石原克己）? 帯広?吉川正子さんの目の治療、陰陽交差鍼法 【１】科学的研究開始後、半世紀を超えても、解剖学的実体は解明されていない。 【２】経脈は、何らかの実体に還元できるものというより、血管、リンパ管、神経などの実体の知識と、鍼、灸の施術時に起こる気感、「循経感伝」現象、さらに疾病のもたらす放散痛などから発想された複合的事実と考えるべきだろう。現代では、脳における感覚受容野の局在性理論を踏まえ、隣り合う感覚受容野の情報交通と経絡現象とを結びつける考え方が提唱されている。 血管説　 浦山久嗣、家本誠一、厳健民など。「血＋脈のつくり」という古代文字があったこと、「脈」「脉」は血管を表すことからも、古代経脈説の実体的基礎の一つは血管であったとする。白川静『字統』（平凡社）を引用する。 「歴史的発生過程を想定した場合、「脈」は、もともと、血管であったと考えられなければならない。その時代の治療法は、砭石、刺絡だった。『陰陽十一脈灸経』『足臂十一脈灸経』に記述されている「脈」の走行、特に手太陰肺経など四肢での走行は、血管のルートに酷似している」（浦山久嗣） 「『素問』『霊枢』で「経絡」と書かれているのは、「経脈と絡脈」を縮めて述べたものである。経脈が気血の縦のルートで、絡脈は経脈を横に連絡する傍流である。経脈とは血管である」（厳健民『中国医学起源新論』北京科学技術出版社、1999年）? 経絡敏感人（循経感伝現象）説 丸山昌朗?長浜善夫『経絡の研究』（1950）。本書は、承淡安の翻訳で中国に伝えられ、７０年代文革期の中国における大衆動員による経絡敏感人探しの火付け役となった。 治療ルート説 横田観風『経絡流注講義』（医道の日本社） 「身体を栄養する経絡と、治療に際して働く経絡は異なっている。治療に際しては、必要なところに響く」 李時珍（1518--1593）『奇經八脈考』 放散痛説 心疾患に顕著。傳田光洋『皮膚は考える』（岩波科学ライブラリー） キム?ボンハン学説 1961 年から北朝鮮のキム?ボンハンは経絡、経穴の実体が見つかったとし、それをボンハン管体系(経絡)?表層ボンハン小体(経穴)と名付ける論文を発表した。日本でも医師、鍼灸師の間に追試ブームが起こったが、追試できたと報告したのは、大阪市立大の藤原知のみだった。(『医学のあゆみ』60巻11号、1967年。藤原知著「経絡の発見」創元社)。2000年代に入りソウル国立大学の蘇光燮など、本説を一部支持する実験発表が相次ぎ、2004年8月にソウルで開かれた第18回生命情報科学シンポジウムでは関連報告が10報にのぼった( Journal of ISLIS 22巻2号2004年)。 脳生理学の立場からの学説 以上のような事実は、ある条件下で同時に複数の感覚神経が興奮し、経絡の走行にみられるような神経分節を越えた広い領域の感覚の出現があり得ることを示唆する。 【３】中国古代人は、こう考えた。宇宙の万物は気から生まれ、生成変化し、宇宙と構造、機