寄赠资料绍介佐藤敏江（中之岛図书馆）.PDFVIP

寄贈資料紹介 佐藤 敏江 （中之島図書館） １）寄贈絵画並びに当館所蔵菅楯彦の絵画について 大阪府立中之島図書館では、本年度 （H21）夏に株式会社新歌舞伎座より、菅楯彦画 「道楽 (一名 ：鼗鼓楽)」が寄贈された。寄贈を受け、21年 11月28 日 （土）～12月4 日 （金）に 菅楯彦並びにその弟子である生田花朝の作品を展示、最終日に芦屋市立美術博物館学芸課 長明尾圭造氏による 「菅楯彦と生田花朝の世界」と題した講演会を開催した。今回、公開 用の調査資料をまとめ、中之島図書館所蔵の絵画の紹介とする。 「道楽」は、1958年 10月に開場した新歌舞伎座へのお祝い用として制作された襖絵で、2 枚の絵画から成る。今回寄贈された資料は、2枚の内の右側の作品で、左側の部分 （一鼓の 演奏部分）を欠いているため落款を欠くが、その来歴、画風と共に右端 （雞婁鼓の演奏部 分）の関防印（ 天高地厚 方印 4.6 ×2.5 ｃｍ）からも菅楯彦の作品である事が知れる。 天王寺雅亮会の一員であった楯彦には舞楽を描いた作品が多いが、本作もその一つ。 「道楽」は、雅楽の演奏形式の一つで、行幸 ・大葬 ・神幸の時などに使われる。楽器編成 は笙・篳篥・笛・一鼓・荷太鼓 荷鉦鼓で、歩きながら奏でられる。 菅楯彦作 ｢道楽 (一名 ：鼗鼓楽)｣ 昭和３３年作(平成２１年度寄贈) 165.5cm×184.5cm ※制作年は菅楯彦の甥 （後養子）であ る梶川真人氏作成の年表による。 ※右の部分には満開の桜の下、五人の楽 人による演奏光景が描かれている。（「画 聖菅楯彦名作大成」参照） 今回の寄贈を受け、当館所蔵の菅楯彦の作品は、7 点 ・浪速文人図 昭和14年頃作 「浪速文人図」「浪速七賢人」を始め、浪速史の人物は、楯彦の愛した主題で、名称 ・ 収載人物や詠草等を違えて描いており、私の知る範囲でも、大阪府立中央図書館 （大 塩平八郎を欠き8人）、個人蔵2点と複数の作品がある。 76 ・天王寺舞楽 ・住吉御田 昭和10年代作 ・木津川の秋雨 （扇面） ・尻無川の沙魚釣 （扇面） ・町人講学 （扇面） 参考文献） 東京と大阪 鏑木清方 ・菅楯彦画 毎日新聞社 1962 刊 （に1/590） 「画聖菅楯彦名作大成」 菅楯彦顕彰会編 昭和48 清文堂出版刊 （に１/864） 「菅楯彦・生田花朝名作展」 菅真人監修 倉吉博物館編 昭和54 刊 （911/551） 「浪速の雅人菅楯彦」 倉吉博物館編 平成9 年編者刊 （721.9/696N） 浪速の絵師菅楯彦の画業 菅楯彦画 関西大学博物館 2009 刊 （721.9/782N） 大阪画談の絵画 関西大学図書館編 平成18 年刊 （721/196N） ＜菅楯彦画伯への追憶 望月信成著＞「日本美術工芸302 号」 日本美術工芸社刊（雑/1345） ２）菅楯彦関連の資料の紹介 当館では、「大阪府文藝懇話会」等を通じて菅楯彦氏と交流があった事もあり、菅氏没後 旧蔵書を受け入れている。当時の職員から、受入資料の選定の節、菅楯彦の甥 （後養子） である梶川真人氏のご厚意により、市場価格に関係なく選んだ等の話を聞いていた事もあ り、これを機会に同氏の旧蔵書について調べてみた。 受け入れた資料は１９３点、６１９冊 （受入日昭和３９年５月 16 日）、和装書１８６点 ６１１冊、洋装書７点８冊、内貴重図書に指定された資料は5