环境美学 - 广岛県大学共同リポジトリ - 广岛大学.pdfVIP

環境美学-アイステーシスの理一 美的文化と環境-21世紀における環境美学の視点から- 課題番 (平成14-16年度科学研究費補助金[基盤研究(B)(1)]研究成果報告書) 平成17年3月 研究代表者 広島市立大学芸術学部助教授 吉 井 序の詞 本科学研究費基盤研究(B)(1)の課題テーマは､｢美的文化と環境-21世紀におけ る環境美学の視点から-｣である｡それは私が､平成14年度から16年度の3年間にわ たって､研究代表者として､広島市立大学を本研究の申請のための機関とし､その在 職中に､多くの研究分担者に共同研究を依頼して遂行されたその成果報告である｡そ して､そのテーマを象徴的に示すために､環境美学というその広表に照応して､今回 の研究の全体像をかえって狭く絞って ｢環境美学-アイステーシスの理-｣とした｡ 私は､平成15年度で同大学を退官し､代表者としての役割を辞さなければならなかっ たので､研究最終年度である平成16年度は､同大学芸術学部助教授吉井華氏にその役 割を託し､取り纏めに協力していただいた｡とはいえ私は､本研究の成果が今までの 全体の流れの纏めになるので､その実質的な責務についてはここに負うことにした｡ 顧みるに､この環境美学という主題での研究は､実は私が東京芸術大学の教授とし て在任中に､そこの美学研究室出身の研究者を中核に組織した研究グループによって､ 平成3年度以来､一時の中断はあれ､継続されてきたものである｡したがって本研究 (注) は､その延長に位置づけられるといえよう ｡ さて本研究は､その分担者は､今までの美学･芸術学の研究者ばかりではなくて､ 広島市立大学のアーティスト教官にも分担者として参加していただいた｡そのことは､ 今までの研究の志向に自ずと質の異なったいわば実践的･実験的な分野にも広がり､ その成果はかえって環境美学の実質的な深みに達したともいえよう｡とりわけ具体的 には､平成15年の秋､｢表象都市 metamorphosis広島一芸術実験展示プロジェクト 2003-｣の表題の下で､広島市内の ｢平和大通り｣ ･｢旧日銀広島支店｣において､ 一ケ月にわたる実験的制作とその展示およびシンポジウムが開催された｡ここには､ 国内外のアーティストや美学･芸術学の研究者が招聴された｡そこで特記すべきは､ それに積極的に関与した広島市立大学芸術学部の3人の本研究分担者､すなわち上記 吉井章助教授 (油絵)､前川義春助教授 (野外環境彫刻)､伊東敏光助教授 (彫刻)ら の研究への寄与であった｡そのとき彼らの制作実験の経験とそこでえられた都市環境 と芸術に関わる知見は､成果報告として､ここに収載されている｡ 東京芸術大学名誉教授 武藤三千夫 (元研究代表者) (注)①武藤三千夫 ｢美的環境形成論の基礎｣､『成熟社会における蛮術的都市環境-比較蛮術学研 究-』､平成3-4年度科学研究費補助金 [総合研究 (A)]研究成果報告書､研究代表者武藤 三千夫､課題番平成5年3月/②武藤三千夫 ｢自然美から環境美へ一環境美学の 構想-｣､『都市環境と糞術一環境美学の可能性-』､平成6-7年度科学研究費補助金 [総合研 究 (A)]研究成果報告書､研究代表者武藤三千夫､課題番平成8年3月/③武藤 三千夫 ｢蛮術における自然-アドルノのヘーゲル批判に拠りつつ-｣､『KALLISTA カリスタ 美学･蛮術論研究 No.3』､東京蛮術大学美術学部美学研究室､1996(平成8年)/④武藤三千 夫 ｢ヘーゲルの 『美学講義』における自然｣､『シェリング年報97第5号』､日本シェリング協 会編､晃洋書房､1997(平成9年)/⑤武藤三千夫 ｢環境のうちなる自己-環境美学の視点か ら-｣､『メタ環境としての都市芸術-環境美学研究