脊索动物 - J-STAGE Journals.PDFVIP

海と生物 脊索動物 ホヤのバ ナジウム濃縮 必威体育精装版の系統動物学は, ホヤ類 を含む尾索動物, ナメク ナ ジウムが含 まれてい ることを発見 した(3).この発見 ジウオを含む頭索動物, そ して我々 ヒ トを含む脊椎動物 が, 当時の学界か ら注 目されたこ とは想像 にかた くな の3亜 門を一括 りに して脊索動物門にま とめてい る.ホ い.その理 由はい くつかある.まず,20世紀初頭 は分析 ヤ類か ら脊椎動物の原型 ともいえる系統学的事実が,相 化学の手法が確立 し,生体 を構成す る元素に多大な関心 次いで発見 されたためである. が もたれた時期であった.すでに鉄がヘモグロビンの, 無脊椎動物 と脊椎動物 をつな ぐ重要な位置 を占めるホ 銅がヘモシアニンの補欠分子族 を構成 してい ることがわ ヤ類 の形態や機能には,生命現象 を解 明す るために他の かってお り,新たに発見 されたバナジウムが,第三の呼 多 くの生物 よりも際立って有利 な特徴がある.すなわ 吸色素 と考 えられたのである.加 えて,系統動物学的に ち,受精卵がモザイク的発生 をし,胚細胞数が比較的少 無脊椎動物 と脊椎動物の間に位置す るホヤが特殊 な金属 ないホヤでは,割球の発生運命 を筋肉,神経系, 脊索, 元素 を濃縮 してい ることは,進化 に伴 って金属イオ ンの 表皮 な どの出現まで追 うことができる.また,発生後期 選択性が変化 した可能性 をうかがわせ, これ も注 目され のオタマジャクシ幼生 に出現す る脊索は,無脊椎動物 と る理 由となった. 脊椎動物 をつな ぐ系統進化学的証拠 を提供す る.無性的 Henzeの発見に刺激 され, その後 の研究者 は, ホヤ な出芽 によって増殖 した群体ホヤはいわゆるクローンで 以外 にもバナ ジウムを含有 す る海産動物が存在す るの あ り,基礎的な免疫 システムや再生生物学の優れた研究 か, またホヤにバナジウム以外の金属が含 まれ る可能性 材料である.細胞膜上で 自己 ・非 自己 を識別す るホヤの がないのかを調べた. その結果,軟体動物門のウミウシ 血球 (体腔細胞) は,生体防御系の系統進化 を研究す る や棘皮動物門のナマ コにもバナジウムが含 まれてお り, 上で重要である.精子 と卵の結合 にあずかる自己 ・非 自 ホヤにはバナジウムの他 にニオブ, タングステンが含 ま 己認識の解析が最 も進んでい る動物はホヤであ り,生物 れてい ると報告 された(4).しか し残念なことに, それ ら に普遍的な精子 と卵の認識機構 を解 くカギを握 る.さら の多 くは現在否定 されてい るか,追試がな されてお ら に興味深い ことに,無性生殖か ら有性生殖 に転ず る際に ず,今の ところ高濃度のバナジウムを含有す る動物はホ は,血球の一部が生殖細胞 に変化す る.ホヤの被嚢は, ヤに限 られてい る.ただ し最近,環形動物であるゴカイ 一種 の血球である被嚢細胞 によって生成 されたセル ロー の仲間に,ホヤに匹敵す る高濃度のバナジウムを濃縮 し ス (ツニシン)か ら成 るが, セル ロースを生成す る動物 ている種が発見 され(5),その種 にはホヤ と同 じ抗原が存 は他 にいない.遷移金属のバナジウムを高濃度 に濃縮す 在す ることが判明 した(6). るホヤは,生命体 による金属イオン濃縮のメカニズムを 研究す る上で格好のモデル動物である. しか も,これ ら