建設業における社会保険未加入問題に関するQ＆A-一般社団法人日本.doc

建設業における社会保険未加入問題に関するＱ＆Ａ 問１　建設業における社会保険未加入問題とは何か 答　建設業では、下請を中心に、法令によって加入が義務付けられてい 　　る健康、厚生年金、雇用の各保険(社会保険など)について、企業の 未加入、労働者の未加入などによって、法定福利費を適正に負担し ない未加入企業が多数存在しています。 　　　社会保険などへの未加入は、技能労働者の処遇の低下など就労環境を悪化させ、若年入職者が減少する一因となっています。そして、若年入職者の減少により、経験の積み重ねによって磨かれる技能を熟練者から若者へと継承することが困難となり、建設業自体の持続的発展が妨げられることになります。 　　　一方、本来は法律上加入する義務のある保険に加入していない企業は、こうした必要経費を負担していないため、その分コストがかからずその結果、法令を守っていないのもかかわらず、競争上は有利というおかしなことになります。これは、公共工事でも民間の工事でも同じです。 　　　こうした状況が建設業における社会保険未加入問題であり、保険未加入企業の排除に向けた取り組みにより、建設業の持続的な発展に必要な人材の確保をはかるとともに、健全な競争環境を構築する必要があります。 問３　なぜ国土交通省が保険加入を推進するのか 答　社会保険などは国の制度であり、これを所管しているのは厚生労働省ですので、これまでの厚生労働省では加入を進めるためのさまざまな取り組みが行われており、今後も加入促進に取り組むことに変わりはありません。 　　　一方、建設業の適正な競争環境の構築や、持続的な発展を確保することなど産業行政については国土交通省が担当となります。 　　　今回の保険未加入対策の取り組みは、とくに建設業において医療保険、年金保険、雇用保険の３保険への加入状況が低いことによって、 　　①適正に法定福利費を負担する企業ほどコスト高となって競争上不利となる現在の不健全な競争市場を改善する必要があること 　　②いざというときに公的保障が確保されない、賃金が低下するなど悪化が進む技能労働者の就労環境を改善し、若年者の入職の減少と高齢化に歯止めをかける必要があること 　　　　から、国土交通省も建設産業行政の一環として、厚生労働省とも十分に連携しつつ、保険加入を徹底していくことになりました。 問５　保険加入企業は今後、現場から排除されるのか 答　社会保険未加入問題への対策は、2016年度までの目標期間5年間の中で、行政と業界が一体となって取り組みことにより、2017年度には、事業所単位では加入義務のある許可業者について加入率100％を、労働者単位では製造業と同水準の加入状況を目指すもので、いますぐに未加入企業の排除が求められているわけではありません。 　　　ただし、これを目標にして段階的に取り組みを進めることになっており、今後、建設企業に対する周知啓発を行いながら、許可行政庁(国、都道府県)による指導のほか、元請による施工体制台帳や再下請負通知書、作業員名簿を活用した加入指導が進められることになります。 　　「社会保険の加入に関する下請指導ガイドライン」では、遅くとも2017年度以降は、健康保険、厚生年金保険、雇用保険の全部または一部について、適用除外でないのもかかわらず未加入である企業は、下請として選定しないとの取り扱いをするべきとされています。 問7　下請への保険加入の確認と指導はどう行えばいいのか 答　元請は、「社会保険の加入に関する下請指導ガイドライン」に沿って、一次下請には、下請選定時に保険料の領収済通知書などのコピーを提示させて保険に加入していることを確認し、2次以下の下請は、再下請負通知書の「健康保険の加入状況」欄によって保険に加入していることを確認します。いずれも、適用除外でないにもかかわらず未加入である場合は、早期の加入手続きを進めるよう指導します。 　　　現場の技能労働者も、新規入場者の受け入れ時に作業員名簿の社会保険欄を確認し、加入すべき保険に未加入である場合は、作業員名簿を作成した下請に対し、適切な保険に加入させるよう指導します。 問9　重層下請構造を改善するにはどうすればいいか。元請が率先して取り組むべき課題ではないか 答　わが国の建設業の重層下請構造を改善するには、契約当事者である建設企業や建設業団体の自主的な取り組みが重要です。 　　　そのため、「社会保険未加入対策推進協議会」に参加する建設業団体による「社会保険加入促進計画」の策定にあたって、主として元請の立場にある総合工事業団体はなどは、次のような項目を盛り込んで、団体単位で取り組みを進めるため検