分母分離構造を用いた逆伝達縦続法による2次元再帰形適応フィルタ.PDFVIP

［山梨大学工学部研究報告第46号1995年12月］ 論 文 分母分離構造を用いた逆伝達縦続法による 2次元再帰形適応フィルタ 戸島國仁 大木真 周欣欣 橋口住久 （平成7年8月31日受理） with the Separable Denominator Function KunihitoTOSHIMA MakotoOHKI XinxinZHOU SumihisaHASHIGUCHI Abstract to　illustrate　the　performance　of　this　approach． 1　まえがき ズムの計算量は低減され，システムの安定 性判別も簡単になる．本論文ではGaoら 　従来適応フィルタは1次元ディジタル信 のアプローチを2次元再帰形適応フィルタ 号処理を対象に，零点だけが調整される非 の場合に拡張する．2次元再帰形適応フィ 再帰形適応フィルタや，極と零点双方が調 ルタに拡張する場合，2通りの方法がある． 整される再帰形適応フィルタが研究され発 1つは2次元再帰形適応フィルタの再帰部 展してきた1）．最近では，1次元適応フィル 分を低次の2次元フィルタの縦続構造とす タの理論を2次元信号処理の分野に拡張し る方法である．この方法は棟安らにより提 た2次元適応フィルタが研究され，画像強 案されている7）．彼等の方法では，伝達関 調や画像の雑音除去などへの応用が期待さ 数の分母多項式を1×1次の2次元フィル れている2）3）． タの縦続構造とし，目的信号をその逆フィ 　1992年にGaoらは，逆伝達縦続法と呼 ルタへ逆伝達させ適応アルゴリズムを計算 ばれる1次元再帰形適応フィルタの新しい している． アルゴリズムを提案した4）．彼等の方法は， 　本論文では，もう1つの方法である分母 再帰形適応フィルタの伝達関数において分 分離構造を用いた逆伝達縦続法を提案する． 母多項式を因数分解することにより再帰部 本方法では，再帰部分を1次もしくは2次 分を低次フィルタの縦続構造とし，目的信 の水平方向の1次元フィルタと1次もしく 号を再帰部分の逆フィルタに逆伝達させる は2次の垂直方向の1次元フィルタの縦続 方法である．この方法により適応アルゴリ 構造にし，目的信号を逆伝達させる．適応 アルゴリズムとしてLMSアルゴリズムを ＊電子情報工学科，Department　of　Electrical　Engi－ neering　a皿d　Computer　Science 用い，再帰部分は1次元フィルタの縦続構 一37一 平成7年12月 山梨大学工学部研究報告 第46号 造であるため，フィルタリングとLMSア り，y（m，n）は適応フィルタからの出力信 ルゴリズムにおける計算量を低減させるこ 号である．d（m，n）は目的信号であり，適応