日本重力基准网2013JGSN2013案TheJapanGravity.PDFVIP

日本重力基準網2013 （JGSN2013）（案） The Japan Gravity Standardization Net 2013 国土地理院が1976 年に公表した日本重力基準網1975 （The Japan Gravity Standardization Net 1975 ：略称JGSN75）は，我が国の重力の基準としてこれまで地下構造の推定，計量器の校正など様々 な用途に用いられてきました．国土地理院では，その後も継続して重力観測をしており，多くの重力デ ータを得ています．日本列島は，地震が多く，また，プレート運動に伴う地殻変動が生じていることが 知られています．重力は，このような地殻変動によっても変化し，特に平成23 年 （2011 年）東北地方 太平洋沖地震の際は，東北地方を中心に，地殻変動に伴って0.009mGal※～0.017mGal に達する大きな 重力の変化がありました．さらに，計測機器（重力計）の性能が向上したことで，重力観測そのものの 精度も向上しています．これらを踏まえ，国土地理院では，精度の向上した新たな観測データを用いて， 1975 年以降の重力の変化を反映した新しい日本重力基準網2013 （JGSN2013）を構築しました． JGSN2013 では，基準となる重力点の数が6 点から34 点に増えるとともに，JGSN75 では0.1mGal だった不確かさが，0.01mGal へと向上しています．JGSN2013 とJGSN75 の重力値の違いは，大きい ところでは‐0.103mGal （一等重力点「高知」）程度となっており，日本列島全域では0.1mGal～ 0.001mGal の重力値の減少が見られます． 上記のとおり，日本重力基準網2013 は，過去から現在までの重力変化，計測機器の性能向上による重 力観測の精度向上及び基準重力点の増設による重力基準網の精度向上等を考慮し，より現状に適合した 重力値となります．今回公表する重力値（JGSN2013）は，次表のとおりです． ※ Gal （ガル）：重力加速度（重力が物を引く力）を表す単位 1[Gal （ガル）] ＝ 1000 [mGal （ミリガル）] ＝1[cm/sec2] ※最終的な精度評価により，各欄の末尾の数値が変更となる可能性があります． ※今回の公表による重力値の変化は，計量分野における計量機器の校正に用いる補正値に影響を与える ほどの大きさはありません． 《参考》 日本重力基準網は，地下の鉱物資源の調査や地殻変動の監視等に利用されるとともに，計量器で校正 や測定を行う際の基準値としても利用されています． 日本重力基準網の主な利用分野 １）地球の形を決めること ・ジオイド・モデル（平均海面の形状）の構築 ・水準測量の補正計算 ２）重力の分布から地下構造を推定すること ・物理探査の一手法としての鉱物資源等の探査 ・地下における活断層の分布の推定 ３）地殻変動などの研究 ・重力の時間変化による地殻変動の監視 ４）計量分野における利用 ・はかり，気圧計，圧力計，トルクメータ等の計量器の校正 ５）他の重力測定技術の基準 ・人工衛星から求めた重力データの基準（地球上における確認） ・超伝導重力計のキャリブレーション