简単な冻霜害発生箱-J-STAGEJournals.PDF

農 業気象(J.Agr.Met.)35(3):165-171,1979 簡単な凍霜害発生箱 羽生寿郎 ・佐 野誠 一*・山中捷 一郎 ・五十嵐大 造 ・杉 山茂久 (千葉大学園芸学部) A Simple Frost-damage Box Utilizing Natural Radiative Cooling Juro HANYU, Seiichi SANO*, Shoichiro YAMANAKA Daizo IGARASHIand Shigehisa SUGIYAMA ( College of Horticulture, Chiba University, 648 Matsudo, Matsudo 271, JAPAN ) 1.ま え が き 2.実験装置 と方法 筆者 らは放射冷却によって作物 に結霜を起 こし,凍霜 実験 に用いた箱 の大 きさは,幅90cm,長さ180cm, 害を与えることができる実験装置 を考案 ・試作 し(羽生 高 さ45cmで,上面はPEフ イルム張 り,他の面は外壁 ら,1978),凍霜害の実験を継続 してい るが,も っと簡 がベニヤ板,内側に断熱のため厚 さ5cmの発泡スチロー 単に霜害 を与える方法 を思いついた。 ル板を貼 り,その表面(箱の内壁)に厚 さ17μmのアル ミ 晴夜に地面(物体)の温度低下は有効放射による冷却 と ニウム箔を貼 って,内面か ら放射 され る長波放射を少 く 気層から地面への顕熱伝達 によって左右 され,斉藤(1967) した。底面 に長波射出率の異な る薄板を敷 くことに よっ は これ らの関係 について理論的考察を している。 また防 て,箱 内の微環境 を変えることができる。箱は地上40 風林 などに囲まれた場所 と開けた場所 との夜 間気温 の cmの高さに,4本 の脚柱で固定 された。 比較 はGeiger(1950)をは じめ多数報告 されてお り, 風が弱いとPEフイル ムが箱内の空気 の冷却で冷や さ 最近 は三原 ら(1977)の報告 が記憶 に新 しい ところであ れ,そ の上面に結露 しやすい ので,送風機で フイルム上 る。 面を常に外気で洗 って,結 露を防いだ。 このよ うに,囲 いの内部や凹地では平坦地 に比べて温 箱 に入れた植物が凍霜害 を受けるか ど うかは気温でな 度が低下す るが,こ れ らの場所で も内外空気 の交換 は行 く葉温による。水平 に置いた葉の温度 は,葉の周囲の環 われてお り,全 くこれを断った場合 には一層 の温度低 境条件が等 しくて も,箱内の葉面の高 さ,葉面の状態 下が期待 され る。事実,プ ラスチックフィルム被覆 の (気孔の数や形,表 皮細胞の状態,毛 の有無等),葉の大 トンネル式畑苗代 が登場 した1950年代 に,ポ リエチ レ きさ,形,厚 さ,含水量等 によって変化す るので,箱 の ン(PE)被覆苗代 で霜害が発生 したことが報告 されてい 冷却能力をみ ようとす る場合には実葉 より模型葉の方 が る。 都合が よい。本実験 では,後述す る理 由か らス ライ ドグ そこで,長 波放射に透明なPEフイルムを上面 に張 っ ラスを模型葉 として用いることに した。以後,これ をモ て,その他の面を断熱 した箱を晴夜,外 に水平 に置いて デル葉 と称す