第3学年A组国语科学习指导案-aes.akita.PDF

第３学年Ａ組 国語科学習指導案 授 業 者 鎌田 雅子 研究協力者 阿部 昇，成田 雅樹 １ 単元名 出来事に気をつけて読もう ～もうすぐ雨に～ ２ 子どもと単元 (1) 子どもについて 文章を読んで気付いたことや想像したことを積極的に発表する子どもが多い。オノマトペ や反復による効果，助詞による意味の違いなどを感じ取る力も育ってきており，これまでの 学習を思い出しながら読み進める姿も見られる。一方で，「自分で見付けた」「自分の考え」 といった 「個で読むこと」に学習の喜びや達成感を感じる発達段階にある。自分で読み進め る時間や自分の読みを発表する場を保障しつつ，話合いを通して，友達の考えのよさに気付 いたり，自分の読みの妥当性を考えたりする経験を重ねることで，読み深める楽しさを学ん でいる段階である。 ３年生になり，「きつつきの商売」を学習した。子どもたちは，言葉と言葉とをつなげて きつつきが開いた店の特徴を読むことや，２つの場面を比較して主人公の心情の変化を読む ことを経験している。 (2) 単元について 本教材 「もうすぐ雨に」は，初めは動物の話が聞こえる現象を信じることができなかった 「ぼく」が，最後には生き物も自分と同じように感情をもち，それぞれの都合や生活がある と考えることができるようになる物語である。作品の構成，現象のパターン化，個性あふれ る登場人物，一人称で書かれた作品であるがゆえの臨場感や感情移入しながら読み進められ るところなど，「面白さ」という視点一つ取ってみても解釈の多様性に気付くことができる 点も作品の魅力である。 「チリン」という音が聞こえるという合図の後，生き物の会話が聞こえるという仕組みが 分かりやすい。生き物が変わりつつ生き物の声が聞こえる現象が何度も繰り返されることで 「ぼく」を通して無理なくファンタジーの世界に入っていくことができる。また，「導入」 「展開」「山場」「終結」の物語の基本的な構成を学ぶことや言動から人物像を読み取るこ と，主人公の心情の変化を考えること，場面を関係付け叙述を根拠に想像して読むことがで きる教材であり，ファンタジー作品との出会いとなる教材でもある。根拠となる叙述を探し ながら何度も読み返し，叙述を基に想像力を働かせながらファンタジー作品を読み味わおう とする子どもの姿を期待したい。 (3) 指導について この単元で身に付けさせたい新たな読みの力は，作品を俯瞰的に読むことを通して物事を 多面的にとらえる力である。子どもたちは，根拠となる叙述を問題となる表現の近くから探 すことや，自分の考えを膨らませて読むことは得意としている。しかしながら，複数の叙述 を関係付けて読み深める力は十分とは言えない。そこで，山場の場面を考える際に見えてく る 「ぼく」の変容を学習問題とし，主体的に読む姿をねらう。また，雨とともに生き物の言 葉が聞こえなくなった理由を考える学習を通して，表層的な読みに留まらず，いくつかの場 面を関係付けて読むことで見えてくる深層的な読みの楽しさに気付き，読み深めていく姿を 期待したい。 単元の前半では，出来事を整理して読みながらあらすじをつかんだり，物語の構成を知り 場面分けをしたりする活動を設定する。本作品は，主人公に聞こえた生き物の言葉に着目す ることで，５Ｗ１Ｈを読み取ることができる。また，その中で幾度となく繰り返される 「も うすぐ雨に」の言葉から，雨と不思議な出来事の関連性にも気付くことができるであろう。 あらすじをつかむ時間には，叙述に注目しながら無理なく作品全体を読むことができるよう に，会話文を物語の順序に並び変える活動を設定する。 後半では，不思議な出来事や，「ぼく」の段階的な変化を作品全体から読む必要が生じる 学習問題を子どもとともに考え，設定する。これまで学習した作品に比べて文章量が増える ことを考慮し，「『生き物』の言動」からあらすじを読み，「『ぼく』の言動」から山場に向