有意味的指导法改订板-semi.miyazaki.doc

諸英文法事項の理解度の現状とそのいくつかに関する有意味的指導法の考案（仮題目） 教育心理学演習　壹岐真由子 問題と目的 　中学校?高校の英文法の指導においては、「ルールの提示と反復練習による定着」がその主体であり、ルールの必要性?合理性などに関する説明は殆んど行われていないのが現状のようである。主に機械的記憶に依拠するこのような指導においては、内発的動機づけ（わかる喜び）は殆んど機能せず、かつ獲得される記憶自体も論理的根拠に欠ける不安定なものでしかないことが危惧される。したがって、現在一般的な上記のような指導法は「理想的」なものとは言い難く、それを代替しうる新たな指導法の考案が望まれる。そこで本研究では、より望ましい代替候補として「有意味的指導法」に着目し、その具体的な内容?方法の考案、並びにその効果の実証的検証を試みる。 　具体的には、下記の3仮説の検討を行う。 仮説1 現状においては、諸英文法事項の大部分は、有意味的記憶としてではなく機械的記憶として保持されているであろう。 仮説2 諸英文法事項の大部分については、有意味的説明の考案が可能であろう。 仮説3 有意味的指導法に対する学習者の評価は、機械的指導法に対する評価よりも高いであろう。 方法 研究1 諸英文法事項の理解度などの現状の把握 宮崎公立大学の教職課程履修学生を対象として、調査を実施する。 研究2 いくつかの英文法事項に関する有意味的指導法の考案 研究1の結果を踏まえて選択したいくつかの英文法事項について、Web pageや文献も参考にしつつその有意味的指導法を考案する。 研究3 有意味的指導法の有効性の検証 機械的指導法と有意味的指導法の各々の特徴について学習者に評価を求め、その分析と考察を通して各指導法の特徴の解明を試みる。 研究1　諸英文法事項の理解度などの現状の把握 　宮崎公立大学の『教育方法』（2001年度）履修学生を対象として行われた「中学?高校時代の英語指導で理解困難、疑問、不満だった内容?方法についての調査」（加藤　2001）に対する回答を集計したところ、図１に示したとおり、文法指導に不満を感じている者が27件中18件と全体の2/3を占めていることが示された。 　英文法指導の現状のより詳細な把握を目的として、2002年７月に同大学教職課程履修者及び卒業生を対象とするメーリングリストにおいて「中学?高校時代の英文法の指導で理解や納得ができなかった内容（英文法事項）とその具体的指導法」に関する体験の送信を求めた（返信総数9件：別紙資料1）。続いて、同調査によって理解?納得不能と指摘された10項目の文法事項に関するより一般的な理解状況の把握などを目的として、質問紙（別紙資料2）による追加調査を2002年７月2６日に実施した（配布総数45枚?有効回収数45枚?有効回収率100％）。 各文法事項の「理解?納得不能」体験率は図２に示したとおりであり、10項目中６項目については過半数が「体験有」と回答している。この結果は、諸英文法事項の大部分が、現状においては有意味的にではなく機械的に指導されていることを示唆するものである。 今後の研究計画としては、「理解?納得不能」体験率が最も高い３文法事項（仮定法のwere、have + p.p.、使役動詞の受動態）について有意味的説明の考案を試み、その効果の実証を目指す予定である。 資料 加藤厚 2001 中学?高校時代の英語指導で理解困難、疑問、不満だった内容?方法についての調査 /message/texam@/0000597