平成27年度収集情报.PDFVIP

資料２－２ 平成27 年度 収集情報 項 目 内 容 テーマ UV 印刷紙容器から食品への化学物質移行状況の実態調査について 2005 年 9 月、欧州で紙容器入り乳児用ミルクからUV インキ成分（ITX:イ ソプロピルチオキサントン）が検出された。企業は、包装材の印刷工程で偶 然入ったものであるとし、独自にリスク評価を行い健康上のリスクはないと しているが、同年11 月製造企業は欧州5 か国の市場から製品を回収した。 欧州連合（ＥＵ）は、ＥＵ法上食品中のITX について規制はないことから、 企業に対し評価のもととなった毒性データの提供を求め、結果、食品中にITX が存在することは望ましくないが、本件のレベルでは健康リスクとなるとは 考え難いと発表した。１） 調査目的や 我が国では、UV インキ成分の食品用紙容器への使用及び食品中への移行に 背景 ついて食品衛生法に基づく基準等は設定されておらず、食品中への移行の実 態も把握されていない。一方、国内における2014 年のソフトドリンクの容器 別生産量割合においては、紙容器が 8.9％をとなっており、ペットボトル飲 料、缶飲料と比較し低い割合ではあるが、2002 年から 2014 年までの生産量 の推移から、紙製容器は一定の生産量を維持している。６） そこで、東京都では、平成24 年度から平成26 年度、UV インキの使用実態 調査として飲料用紙容器の UV インキ成分の材質試験及び溶出試験を実施し た。また、あわせて移行状況調査として内容物である飲料中に含まれる UV インキ成分の検査を実施した。７） 【UV インキ成分とは】 UV インキ成分は、印刷インクを素早く硬化させるために使用する物質であ る。 近年、紫外線によるインキ成分の瞬間固化技術を応用した印刷方法（以下、 UV 印刷という。）が印刷業界で広く行われるようになっている。 UV 印刷用のインキ（以下、UV インキという。）には、光重合開始剤などの 化学物質 （UV インキ成分）が含まれ、これらの化学物質がUV 印刷された紙 調査結果 容器から内容食品に移行する可能性がある。 【規制や毒性等に係る諸外国の状況】 ○EFSA （欧州食品安全機関） 検出された量のITX では毒性学的脅威とはならない旨の声明を出した。 これまで ITX のリスクアセスメントは行ったことはなく、正式な評価は 2006 年3 月までに行う予定であり、決定してない旨を示した。１） また、2009 年、包装材からの移行により朝食用シリアル製品から検出さ れたベンゾフェノン（BPH）については、発がん性物質の可能性はあるが遺 伝毒性はなく、TDI(耐容1 日摂取量)は0.03mg/kg 体重/ 日と算出された旨、 声明を発表している。３） ○ FSA(英国食品基準庁) １）、５） 定期的に食品中のUV インキ成分を調査し、結果を公表している。FSA は、 この調査結果についてリスク評価を行った結果、現状において、直ちに食 品安全への懸念は生じないと結論づけている。その上で、両親らに対し食 事を変更する必要はないと助言している。また、情報のあった企業以外の 製品でも ITX が混入している可能性はあるが、状況からみて現時点での対 応が必要な問題とは考えていないとしている。 ４） ○BfR （ドイツ連邦リスク