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順天堂大学 News Information No. 01 2014年 6月4 日 医療・健康 日本人２型糖尿病患者における「腸内フローラのバランスの乱れ」を発見 ～腸内細菌が血流中へ“移行する”ことが明らかに～ 本研究成果のポイント • ２型糖尿病では腸内フローラのバランスが乱れている • ２型糖尿病では腸内でのみ生息しているはずの腸内細菌が血液中で検出される率が高い • 腸内フローラのバランスの乱れが腸管での透過性亢進をきたし、糖尿病の病態に関与する 可能性がある 概要 順天堂大学大学院医学研究科・代謝内分泌内科学の佐藤淳子医師、金澤昭雄准教授、綿田裕孝教授、順 天堂大学大学院プロバイオティクス研究講座の山城雄一郎特任教授らの研究グループは、２型糖尿病患者 と非糖尿病者を対象とした研究から、２型糖尿病ではある特定の腸内細菌の量が変化し、おそらくは腸管の 透過性亢進によって腸内細菌が生きたまま血液中へ移行することを発見しました。 肥満や糖尿病では腸内細菌のバランスが崩れ、腸管粘膜上皮のバリアのすきまから腸内細菌の構成成分 であるLipopolysaccharide （LPS）や腸内細菌のDNAが血液中に入り込むことが海外で報告されていました が、日本人を対象とした研究は全くありませんでした。今回我々は、日本人において腸内フローラのバランス の乱れがあること、細菌DNAではなく、生きた腸内細菌が血液中へ移行することを初めて明らかにしました。 この研究は新たな糖尿病の発症メカニズムや病態の理解、新薬の開発に道を開く可能性を示しました。なお、 本研究成果は株式会社ヤクルト本社中央研究所との共同研究で行われました。 背景 ヒトの腸管内では多種・多様な細菌が絶えず増殖を続け、これらは腸内細菌と呼ばれ、個々の菌が集まって 複雑な微生物生態系を構築しています。この微生物群は｢腸内フローラ｣または、「腸内細菌叢（そう）」と称さ れ、食事内容の変化でその組成は影響を受けるとされています。特に高脂肪食の摂取では腸内フローラの バランス異常（dysbiosis）が生じ、腸管でのバリア機能の低下、つまり透過性の亢進をきたすことが報告され ています。透過性の亢進は腸内細菌及び、その成分の血中への移行（bacterial translocation）をもたらし、 News Information No. 02 2014年 6月4 日 炎症性サイトカインの増加を介して、微小な慢性炎症を宿主であるヒトに惹起し、肥満、糖尿病のインスリン 抵抗性の一因となっていると推測されています。しかし、日本人の２型糖尿病患者における腸内フローラは 明らかにされていませんでした。本研究では、糖尿病と腸内フローラの関係を明らかにするため、日本人２型 糖尿病患者の腸内フローラと、腸内細菌の血流中への移行について、それぞれ解析を行いました。 研究方法と結果 私たち研究グループは、２型糖尿病患者50名と非糖尿病の対照者50名において腸内フローラの比較を行 いました。さらに、腸内細菌の血流中への移行について解析を行いました。解析にはヤクルトが開発した腸 ® 内フローラ自動解析システム（Yakult Intestinal Flora-Scan: YIF-SCAN ）を用いました。 糞便を用いて腸内フローラの解析を行ったところ、２型糖尿病患者は対照者と比べて腸内細