耐火性を持つ接着材を用いた火災に強い木質内装住宅用部材の開発Developmentofbuilding.pdfVIP

埼玉農総研研報(13) 68-7 1，2014 《資 料》 耐火性を持つ接着材を用いた火災に強い 木質内装住宅用部材の開発 大河原 睦＊ Development of building materials of wood with fire -resistant adhesive Mutsumi OKAWARA 木材の利用を促進するため，建築のあらゆる分野 び14 mm に仕上げた． で木材を使う必要があるが，木材を使用する場所な かんな盤で仕上げた後，一部の試験体の最外層の どによって使用に制限がある．そこで，燃えにくい 一面に塗布用ローラーで概ね1.0 m2 あたり200g の 無機系の接着剤を使用して耐火性能の高い住宅部材 接着剤を塗布した． の開発を行った． 2 無機接着剤を用いた住宅部材の性能把握 材料および方法 (1) 浸せきはく離試験 試作した幅はぎ板を短辺方向に75 mm 幅に切断 1 無機接着剤を用いた住宅部材の開発 した試験体（スギ3 本，ヒノキ3 本）を25℃に温度 (1) 幅はぎ板の試作 を調整した室内で水中に24 時間浸せきした．浸せき スギ?ヒノキ材 （25×35×2,000mm）の長辺面に無 終了後に恒温乾燥機内に入れ，40±3℃で18 時間乾 機系の接着剤 （TR1976 BOND，トリオセラミックス 燥させ試験体の両木口面のはく離の状態を観察した． 社製，以下接着剤）を塗装用ローラーで概ね1.0m ２ (2) 減圧加圧はく離試験 あたり200g 塗布し，横方向に 17 本ならべ圧締圧2.5 短辺方向に75 mm 幅に切断した試験体（スギ3 本， ２ ㎏/㎝ で2.0 時間圧締した．圧締終了後，1 週間程度 ヒノキ 3 本）を室温の水中に浸せきし，0.085MPa 養生を行った後，表面をかんな盤で処理し，幅約425 の減圧5 分間と0.50MPa の加圧１時間を2 回繰り返 mm×厚さ30 mm×長さ2,000 mm の幅はぎ板を試作し した後に，70℃の恒温乾燥機で試験体の重さが試験 た． 前の100～110％の範囲となるように乾燥させ，試験 (2) 積層材の試作 体の両木口面のはく離の状態を観察した． スギ板材をかんな盤で削り縦350 mm×横120 mm， (3) 促進耐光性試験 厚さ3 および5 mm の薄板に仕上げた．薄板の表面 かんな屑と接着剤を用いて試作した木質ボードを， に接着剤を塗装用ローラーで概ね1.0 m2 あたり200g ウェザーメーター（スガ試験機製，X75SC）を用い 塗布し，繊維方向を平行にして3 および5 枚積層し， て次の条件で暴露した．暴露時間100 時間ごとに試 ２ 圧締圧8.0 ㎏/㎝ で2.0 時間圧締した．圧締終了後1 験体の重量測定と目視による形状の観察を行った． 週間程度養生し，表面をかんな盤で厚さ 10 mm およ *森林?緑化研究所 大河原：耐火性を持つ接着材を用いた木質内装住宅用部材の開発 a 照射照度（波長300～400nm） 60W/m2 にくい． b ブラックパネル温度 63±3℃ c 相対湿度 50±5％