少子化における自動車産業の動向-mn.eco.saga-u.docVIP

人口減少時代における自動車産業の動向　　　　　高野真実 少子高齢化社会の到来は、人口そのものが減少するという日本国家の現実が年金支給や健康保険受給へのバランス崩壊の危機を早くも招いているとともに、戦後、これまで国自動車産業の成長を国内販売の面で支えてきた日本自動車市場そのものが歴史的変動を受けるかもしれないとの不安が産業界?経済界有識者に広がってい。自動車産業は広範な産業とも関連する総合産業で全就業人口の8％を占めるとともに、製造分野においても製造品出荷額全製造業出荷額の約16％を占めるなど、日本の基幹産業として重要な役割を果たし自動車が一大総合産業といわれるのもそのためであり、膨大な設備投資や研究開発費の投入など、その動向は経済界のバロメーターとして重視されてい。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 単位100万ドル 　 20世紀の初頭から世界は自動車の文明に入ったと言っても過言ではない。自動車産業は19世紀の終わりごろからヨーロッパで発足し、20世紀初頭にアメリカがその大量生産に成功したあと第二産業革命が始まった。その後、製造技術の観点からアメリカはモデルとなっていたが、自動車の品質?機能?デザインの観点からヨーロッパのほうが比較的に高い評価を受けてきた。日本で1904年に始めて自動車が生産された。その時点ではまだ蒸気機関自動車であったが、1923年にガソリンエンジンを搭載した乗用自動車が登場すると第2次世界大戦後には日本における自動車の需要は急速に拡大し、日本も自動車産業大国となった。生産台数でアメリカを追い越し実質世界トップとなったのは1980年である。また同時に日本の製造システムにも世界中から注目が集まるようになり、自動車産業は日本の産業の核心に貢献してきた。その反面1970年代からヨーロッパの自動車産業は低迷し、技術面で日本に対して大きな遅れをとることとなるが1990年代に回復し、現在ではその技術は世界トップを誇るといわれている。現在の自動車産業は、欧?米?日という3つの地域に集中されているということで、それらの地域の自動車市場は豊満の状態にある。 乗用自動車輸出入額（単位　100万ドル） 輸出総額 299,334 輸入総額 303,296 １位 ドイツ 60,560 1位 アメリカ 110,920 2位 日本 56,809 2位 ドイツ 21,991 3位 カナダ 34,910 3位 イギリス 20,995 4位 フランス 19,880 4位 イタリア 17,371 　： 　　： 　　　： 　： 　　： 　　　： 8位 アメリカ 15,695 10位 日本 6,948 　上の表は総務省統計局のデータである。日本の乗用自動車輸出額はドイツに次いで多く、世界の約19%を占めていることになる。このことからも日本の自動車産業は大きな影響力をもっており、その動向は世界的にも注目されている。 人口減少の到来 ●人口推移と今後の推移予想 我が国の合計特殊出生率の減少が長く下降停滞する中、21世紀の我が国はもはや少子高齢化への懸念を遙かに超えて、人口減少時代に突入していることが指摘され。 日本の総人口は、初めて国勢調査が実施された1920年には5596万その後戦争による減少があった194年を除いては、一貫して増加してきた1945年に7200万人であった総人口は、第 1 次ベビーブーム1948年8000万人を超えた。 年後の1956年に9000万人を超えたあと、11年1967年に初めて 1 億人を突破する。そして、第2次ベビーブームを経た年後の1974年に1億1000万人を超え1984年に1億2000万人を超えた。その後20年間は、前年比増加率が年々縮小しながらも総人口の増加は続き、2004年には1億2778万人に達していた。ところが2005年の国勢調査で、これより約2万人減少したことが明らかになった。国立社会保障?人口問題研究所の推計によると、日本の総人口は今後一貫して減少し、2027年には1億2000万人を割り込み、2050年には1億59万人と、約40年前の1967年レベルになってしまう人間には寿命があ、一定水準以上の子供を産子孫を残さない限り人口は減少。人口を一定に保つために必要な出生率この水準は死亡率の高低によって変化する日本の場合、長寿国であるその水準は低く、2003年では2.07である。合計特殊出生率がこの人口置換水準を下回る状況が続けば、やがて人口は減少することになる。日本では、1950年代後半から1970年代前半にかけて合計特殊出生率がこの人口置換水準を一時的に下回った後、両指数がほぼ同じ水準で推移していた。しかし、1974年以降、合計特殊出生