エンパワーメント実践の技法 - 広島県大学共同リポジトリ.pdfVIP

人間と科学 県立広島大学保提福祉学部誌 7(1) 51-62 2007 障害者団体のフログラムにみられる エンパワーメント実践の技法 横須賀俊司 県立広島大学保健福祉学部人間福祉学科 2006年 9月12B受付 2006年 12月12B受理 抄録 ソロモンが論じて以来，ソーシャルワークにおいてヱンパワーメントに関する研究は盛んに行われているG その広盛ぶりにかかわらず，研究についての基礎となる明確な定義が薙立していないといわれている。しかし， 主体自身への内部に向けた動きとその外部に向けた動きとまとめることができる。特に重要とされるのは外部 への動きであるO どのようにすれば外部への動きとなるのか その技法を検討することが本論文の課題で毒る。 そのために障害者団体が実施していたプログラムを素材にしてどのような技法があるのかを検討した。その結 果，障害者としての主捧化を図ること，不満や楽しみといったことにより動機付けを高めること，物事を解釈 する枠組みを提示することといった技法が明らかとなるであろうO しかし このような技法だけでエンパワー メントが成功するわけではない。それらに加え，社会環境の整備といったことも同詩に必要とされているので ある。 キーワード:撞害者 プログラム エンパワーメント実践エンパワーメントの技法 U . 1 A 2 4に 人間と科学 県立広島大学保縫福祉学部誌 7(1) 51-62 2007 1 緒言 ドボカシー，ソーシャルアクションとして取り上げ， エンパワーメント・アプローチの技法としている。そ 本論文の目的誌，エンパワーメント実践をしていく して，これらを中核としたヱンパワーメント過程を， にあたって，ある障害者団体が実施していたプログラ カウンセリング次元相互支持次元 アドボカシ一次 ムを通して，どのような技法があるのかを撞出するこ 元，ソーシャルアクション次元として説明しているO とにあるO つまり 障害者毘体の実践を理論化しよう このようにエンパワーメントに関する研究が広がっ という試みであるO そのため 以下のように論述して てきたにもかかわらず，その定義が明確に右っていな いくことにするO まずヱンパワーメントに関する研究 い，暖味であるといった指摘がされている叱比較的 について概観し，エンパワーメント実践における重視 最近に出版された社会福祉語典のエンパワーメントと すべき点を詣諒するO 次に 考察の素材となる障害者 いう項目を見ても定義の暖珠さが記されており 7) そ 団体のプログラムについて説明を行う。そこから，エ の問題が今なお解決されていないことを伺わせるO 明 ンパワーメント実践と考えられる三つの技法について 確立概念定義が確立してい怠いということは，エンパ 取り出してみるO そして 最後に障害者団体のプログ ワーメント研究を推進 発展させていくうえで大きな ラムにおける眼界を指摘し 今後のエンパワーメント 妨げになる。概念は誹究していくうえでの土台であるO 実践に関する展望について若干触れてみることにす その土台がしっかりしていなければ，その上に立つも るO のは不安定にしかならない。各論者がそれぞれ異なっ