毛髪で分かる乳ガンの前兆と発生―放射光蛍光X線分析で早期.pdfVIP

毛髪で分かる乳ガンの前兆と発生 ―放射光蛍光X 線分析で早期発見― 兵庫県立先端科学支援センター 〒  兵庫県赤穂郡上郡町光都  千川純一 678 1205 3 1 1 兵庫県立先端科学支援センター 〒  兵庫県赤穂郡上郡町光都  山田耕作 678 1205 3 1 1 兵庫県立先端科学支援センター 〒  兵庫県赤穂郡上郡町光都  秋元利男 678 1205 3 1 1 京都薬科大学代謝分析学教室 〒  京都市山科区御陵中内町 桜井 弘 607 8414 5 京都薬科大学代謝分析学教室 〒  京都市山科区御陵中内町 安井裕之 607 8414 5 箕面市立病院外科中央手術部 〒  大阪府箕面市萱野  山本 仁 562 8562 5 7 1 千葉大学大学院医学研究院 〒  千葉市中央区井之原  江原正明 260 8677 1 8 1 千葉大学大学院医学研究院 〒  千葉市中央区井之原  福田浩之 260 8677 1 8 1 放射光  を用いると毛髪一本 の長さで分析できる。毛髪のカルシウム濃度は体温や脈 要 旨 Spring-8 BL 24XU 0.2 mm 拍数のように万人共通の一定値に揃っていた。カルシウムは生体の情報伝達物質だからだ。乳ガンの10人で毛根から先 端へと分析すると，毛の伸びる速さから発症1 年前にカルシウムの異常が全員で始まっていた。定期分析検査をすれば 予知も予防も可能と思われる。遺伝子に原因があっても細胞間の情報伝達が正常ならば発現しないと考えられる。カルシ ウム代謝の重要性はよく知られていたが，その異常を毛髪分析で判定できることが初めて分かった。 1. はじめに した江橋の研究，西塚による細胞間の情報伝達をするカル シウムを含む蛋白分子の発見があり，また，西塚の所属し 「毛髪なんかで分かるものか」という誰もが持つ先入観 た研究室を主宰した藤田はカルシウム含有量が低い和歌山 は，これまで報告された毛髪分析データの大きく変動する 県古座川の流域に発生する特異な病気の研究から出発して 様子からすれば当然です。体温や脈拍数のように健常者で カルシウム不足の影響に関する壮大な研究を展開してい 一定値を持たないと健康診断には使えません。でも蛍光 る。 X 線分析のデータ処理の仕方を改善すると，たとえば毛 このように必須元素の中でもカルシウムは特に重要な役 髪中のカルシウム濃度は万人共通の一定値になっていて， 割をしており，循環する血液中のカルシウム濃度［Ca］ 今度は「あまりにもデータが揃い過ぎる，生き物には個人 は，骨とバランスして，厳密に一定値（血液1 リットル