自然外力の変化に伴う最近の災害の特徴と今後の研究開発の展望.pdfVIP

展 望 解 説 特集：防災技術 自然外力の変化に伴う最近の災害の特徴と 今後の研究開発の展望 杉山　友康＊ Characteristics of the Recent Disaster Corresponding to Change of Nature and the Prospects of Future Research and Development Tomoyasu SUGIYAMA 　In Japan, the frequency of the concentrated downpour has increased lately, and further there occur large earth- quakes frequently. Quite recently, a massive earthquake occurred on 11th March, off the Pacific coast of the Tohoku area, causing devastating damages. On account of such natural disasters, damage scale along railways has become large and its damage modes have been diversifying at the same time. Therefore, at first, this paper explains about circumstances of climate change, and introduces features of natural disasters corresponding to such changes. Moreover, this paper shows the recent state and the future prospects of the research and development in the disaster prevention technological field in Japan. キーワード：自然災害，豪雨，地震，強風，豪雪 １．はじめに 回の地震のメカニズムや領域，地震規模などの詳細につ いては，今後明らかにされると思われるが，地震に対す 　安全でかつ安定した輸送の提供が求められている鉄道 る備えを行ってきたにも拘わらず，想定マグニチュード は，開業以来自然災害を経験し，これを克服して更なる を遥かに上回る地震であり，多大な被害をもたらした。 安全・安定輸送を目指した努力を続けてきた。この成果 　また，地震だけでなく，最近では気象の変化も顕著に として，近年の鉄道の災害発生件数は減少している。し なってきており，「異常気象」という言葉を耳にする機会 かし，本年 月 日に発生した東北地方太平洋沖地震は， は決して珍しいことではない。特に，猛烈な雨量が観測 3 11 鉄道のみならず社会全般に甚大な被害をもたらした。ま される頻度はここ数年明らかに増加傾向にある。こうし た，近年の，いわゆるゲリラ豪雨と呼ばれる局地的短時 た豪雨は，「ゲリラ豪雨」と呼ばれている。そもそも「ゲ 間豪雨の発生頻度の増加や，冬のまれに見る豪雪などに リラ豪雨」という言葉には明確な定義はないが，極めて より，かつて経験しなかった形態の災害発生や，最近で 小さな空間スケール（数 ～数十 の範囲）で，短時 km km は経験がなくその対応に追われる様な災害も見られるよ 間に観測される雨量強度の極めて大きな降雨を指す