巻头言回想北海道巡検-早稲田大学.PDFVIP

第 27 号 早稲田大学教育学部 発行：平成 19年 11 月 1 日 巻頭言：回想 北海道巡検 稲門地学会会長 坂 幸恭 冒頭から私事で恐縮ですが，一身上の理由で，１年早く来春をもって退職することに致しました。稲 門地学会会長としてのご挨拶は 3 回目にして最後となります。堤先生から会長を受け継いだ 3 年前に， 決まり文句とはいえ，本会のあり方について大言壮語を並べておきながら，会長として本会に何の貢献 もなさないまま辞任の止むなきに至ったことに忸怩たる想いです。 そのよう次第で格調高い文章を連ねたいところですが，この３年の間に退化することはあっても進化 するはずはありません。そこで我ながら感傷的にすぎるとは思いつつも，専修開設以来，欠けることな く続いている『北海道巡検』（以下，巡検）の思い出話を綴ります。現在，巡検は選択科目となってお り，また当初のコースや見学箇所もかなり変更されています。これが無縁の話となる会員諸君には申し 訳ありません。 巡検は大きく分けて 3 つの段階を経て今日に至っています。1. 全コースにわたって公共交通機関を 利用した初期の期間。2. 借り切りの道北バスを使った期間。3.選択科目となり，日程も 10日から 7日 に短縮された現在を含む期間。 第 1 期 ：当時にキャリーバッグのような便利なものはありません。巡検中に必要な衣類・雑貨や用具 を詰め込んだキスリングというばかでかいリュックを背負っての行程でした。両脇のポケットがやたら 大きく，満杯にすると肩幅の２倍ほどになるため，駅など人混みではまっすぐ歩くことができず，横歩 きしなければなりません。時あたかも『♪山男よくきーけよ』の全盛期で，そのような風体の若者たち は‘カニ族’と称されていました。カニ集団の移動は悲壮なものでした。日高本線苫小牧から様似に向 かう 3 輌編成の列車は，途中の浦河で 2 輌となり，様似 旭川 の 1 つ手前の西様似では 1 輌となります。一般乗客は少 ×○ ● 遠軽 潭 古 居 神 洞 乳 鍾 麻 ×当 層雲峡 ないものの，私たち全員が 1 輌に乗り切れるかどうか， ● 沢 松 百 ○ フ タ ン ー リ グ 岩見沢 恐怖を覚えました。その先も難行苦行です。日勝目黒で 札幌 ○ 温根湯温泉