第5回东邦医学会大桥病院外科分科会.pdfVIP

68（68） 学会抄録（分科会） 第37回東邦大学医療センター大橋病院外科集談会 （第5回東邦医学会大橋病院外科分科会） 平成 28 年 1 月 16 日（土） 東京アメリカンクラブ（港区麻布台） 集談会開会の辞　草地信也 　．動脈塞栓術先行の脾摘出術を施行した脾破裂を伴う 脾原発悪性リンパ腫の例 　研修医発表 前原惇治（大橋病院外科） 座長　片田夏也 　今回われわれは，脾原発悪性リンパ腫に伴った巨大脾腫 破裂に対して動脈塞栓術（transcatheter arterial emboliza- 　．術後消化管穿孔に伴う腹腔内膿瘍と創部離解に対して tion：TAE）を先行して脾摘出術を施行することで救命し得 陰圧閉鎖療法が有効であった例 た 1 例を経験したので報告する． 　70 歳，男性．歩行時に腹部を打撲し，1 週間後に呼吸苦 橋本瑶子（大橋病院外科） を認め東邦大学医療センター大橋病院に救急搬送となっ 　褥瘡や創離解に対する陰圧閉鎖療法の報告は散見され た．腹部造影 computed tomography（CT）所見では肝表 る．しかしながら消化管穿孔に伴う腹腔内膿瘍と創離解に 面，脾周囲に液体貯留を認め，巨大脾腫も認めた．脾内に 対する報告はいまだ少ない．今回われわれは，膵癌術後の 血管外漏出を示唆する高吸収域を認め，脾腫瘍の破裂によ 消化管穿孔による腹腔内膿瘍，創離開と皮膚障害に対して る腹腔内出血と診断した．来院時はショック状態であり， 持続吸引を加えた陰圧閉鎖療法が有効であった症例を経験 初期輸液に反応する responder であったが，血小板が したので報告する． μ 25000/ l と減少していた．出血傾向を考慮し，まずは出血 　65 歳，男性．膵癌に対し術前化学放射線療法を施行，引 コントロールのため TAE を施行した．TAE 施行にて止血 き続き膵体尾脾切除，結腸部分切除を施行した．第 7 病日 を行い，状態が安定したため耐術可能と考え翌日手術を施 に消化管穿孔の診断で再手術を施行したが，穿孔部は同定 行した．腹腔内には約 3000 ml の旧血性腹水を認めた．脾 できず洗浄ドレナージ術のみで終了した．その後も消化液 動・静脈を結紮・切離し，脾摘出術を施行した．摘出した 漏出は続くものの，再々手術の有効性も期待できなかった． 脾臓は最大径 240 mm であり，脾実質のほとんどは腫瘍細 そのため，腹腔ドレーンの交換を繰り返し，第 31 病日に横 胞に置換されていた．病理学的診断は diffuse large B-cell 行結腸中央部の穿孔部位を同定し，結腸内にドレーンを挿 lymphoma であった．手術後，disseminated intravascular 入留置した．膿瘍腔は腸管穿孔部から肝下面を経由，腹腔 coagulation（DIC）状態が継続したが抗 DIC 療法にて対応 内を横断し左横隔膜下に大きなスペースとして認められ した．その後，膵液廔，膵尾部壊死，門脈内血栓など認め た．正中創は離解し，腸液による