爱生会山科病院.pdfVIP

医学フォーラム 281 ＜病院だより＞ 愛生 会 山 科 病 院 病院長 菅 知 行 眼 科 荒木 美治，中路進之介 当院で行っております「眼瞼下垂症の治療」に Ⅰ．病院の沿革 ついてご紹介させていただきたいと思います． 社団法人愛生会山科病院は昭和31年5月，内 （病院長菅 知行） 科・外科・レントゲン科を標榜し，病床数20床 Ⅱ．当院の眼瞼下垂症に対する治療方針 で，竹鼻竹ノ街道24番地において開設されまし た．昭和39年に竹鼻四丁野町に新築移転，整形 眼科 荒木美治，中路進之介 外科，産婦人科を増設し93床に増床されまし 緒 言 た．昭和41年には108床に増設，翌年眼科，耳 鼻咽喉科，内視鏡科を増設，すこし遅れて小児 眼瞼下垂症は，中高齢者に多くみられる上方 科も増設されました．昭和45年には北棟を昭 視野狭窄を主訴とする疾患で，眼精疲労，肩凝 和52年には西棟の増築が完成し，現在と同じ許 り，頭痛など多彩な随伴症状を生じる．この疾 可病棟305床となっています．昭和56年に泌尿 患では機能障害のみならず，下垂による代償性 器科，平成2年に麻酔科，平成5年に神経内科， の眉毛挙上により前額部の皺形成が生じるの 平成6年からは血液内科，循環器内科をそれぞ で，実年齢以上の顔貌を呈することが整容的な れ増設しています．平成8年6月に訪問看護ス ストレスになることもある．近年，老年人口の テーション，9月には在宅看護支援センターを 増加とともにこの疾患の罹患数は増加している 開設し，地域高齢者のお世話を行えるようにな が，眼科，形成外科の境界領域の疾患であるが りました． 故に専門知識を持ち合わせた医師が少なく，患 平成9年4月に皮膚科を増設，平成12年1月 者が適切な医療を受けられないことがある．す 介護老人保健施設おおやけの里を開設し，同時 べての担当医がこの疾患の知識を深め，眼瞼の に京都市在宅介護支援センター・おおやけの里 解剖を熟知した眼付属器専門医が手術を遂行 も併設しました．平成17年5月，日本医療機能 し，質の高い医療を患者に提供すべきであるこ 評価機構病院機能評価認定病院となり，7月に とは言うまでもない．当院では年間100例以上 は創立50周年記念事業として病院の増・改築工 の眼瞼手術を行っており，当施設での眼瞼下垂 事が始まりました．平成18年4月，京都山階地 症の診断，治療方針についてここに報告する． 域包括支援センターを開所，6月には京都市山 正しい診断のために 科区介護予防推進センターを開所しました．7 ～眼瞼下垂の定義および類似疾患～ 月には病院新館が完成し，翌年3月改築工事も