法改正でiDeCo加入者増加-みずほ総合研究所.PDF

みずほインサイト 政 策 2017 年 9 月 12 日 法改正で iDeCo加入者増加 政策調査部上席主任研究員 堀江奈保子 更なる普及には拠出限度額の見直しがカギ 03-3591-1308 naoko.horie@mizuho-ri.co.jp ○ 2017年1月にiDeCoの加入対象者が拡大されたことに伴い加入者数が増加しており、2017年7月末時 点で58万人（2016年12月末時点では31万人）となった ○ 今後、仮に2017年1月から7月までのペースで加入率の上昇が続くとすれば、2025年度末の加入者数 は400万人を超える ○ 更なる普及に向けてはまずiDeCoの認知度を上げることが最重要課題である。その上で、現在最低 で月額1.2万円とされている拠出限度額の引き上げや資格喪失年齢の引き上げ等も検討課題となる １．iDeCoの加入範囲が拡大 2017年1月に確定拠出年金の個人型年金（iDeCo）の加入対象者が拡大されたことに伴い、加入者数 が増加している。 確定拠出年金は、拠出された掛金が個人ごとに明確に区分され、掛金とその運用収益との合計額を もとに将来の年金給付額が決定される年金制度である。掛金を企業が拠出する1 「企業型年金」と、加 入者自身が拠出する「個人型年金」がある。それぞれの制度の概要は図表1の通りである。 個人型年金は2002年1月に開始されたが、加入対象者は①国民年金第1号被保険者2 （自営業者等）と、 ②同第2号被保険者（会社員、公務員等）のうち企業年金3のない企業の従業員に限定されていた。2017 年1月の制度改正により、企業年金のある企業の従業員、公務員等、国民年金第3号被保険者（専業主 婦等）も個人型年金に加入することができるよ うになり、一部を除き基本的には現役世代の全員が個 人型年金に加入可能となった。なお、個人型年金の加入対象者の拡大に先駆けて、2016年9月にはその 4 愛称が「iDeCo」（イデコ）と決定された 。 個人型年金（以下、iDeCo）の加入対象者が拡大されたのは、ライフコースの多様化が進むなか、個 人の就労形態や離転職に左右されない継続的な老後への自助努力を支援するためである。 ２．iDeCoの加入者数の推移 iDeCoの加入者数をみると、2016年12月末時点では31万人であったが、2017年1月の加入対象者の拡 大に伴い加入者数が増加しており、2017年7月末時点で58万人となった（図表2）。 7月末時点の加入者数の内訳をみると、第1号加入者（自営業者等）は10万人、第2号加入者（うち会 社員）は38万人、第2号加入者（うち公務員等）は9万人、第3号加入者（専業主婦等）は1万人であり、 会社員と公務員の加入増加が顕著である（図表2）。 1 図表 1 確定拠出年金の概要 企業型年金 個人型年金 （iDeCo） 1．国民年金第1号被保険者【第1号加入者】 自営業者等（国民年金保険料の免除者等を除く） 2．国民年金第2号被保険者【第2号加入者】 加 入 対 象